
潰瘍性大腸炎で障害年金はもらえる?|社労士に頼まず、AIを使えば自分で申請できます
「潰瘍性大腸炎 障害年金」で検索して出てくるのは、社会保険労務士事務所のページばかりです。上位を数えたら、9件すべてがそうでした。
どのページにも「難しい」「専門家に相談を」と書いてあります。ただ、私が知りたかったのはそこではありません。知りたかったのは、何を用意して、何を書くのかでした。
その手順を、実際に申請した本人の側から書いた記録が、見つかりませんでした。だから私は、制度そのものを読むところから始めました。分からない言葉はそのつどAIに整理させて、書類も自分で書いています。
この記事で分かること
- 社労士に頼まなくても、書類は自分で集めて自分で書けます
- 病名では決まりません。見られるのは、生活がどれだけ制限されているかです
- 書類集めにかかったのは、1か月と、実費1万円ほどでした
※ 私個人の記録です。社会保険労務士でも行政の職員でもありません。制度は改定されます。この記事の数字は令和8年度(2026年度)のものです。手続きは必ず年金事務所でご確認ください。
潰瘍性大腸炎の障害年金は何級?|病名ではなく、生活の制限で決まります

まず、国が何を基準にしているのかを確かめました。日本年金機構の『障害認定基準』という文書です。PDFで142ページあります。
「潰瘍性大腸炎」「クローン病」「炎症性腸疾患」、範囲を広げて「大腸」まで調べて、ヒットは全部0件でした。しかも、目・耳・手足・心臓・腎臓……と分野ごとに章が分かれているのに、腸の章がありません。
そのため、潰瘍性大腸炎は「血液・造血器・その他」という診断書に振り分けられます。
判断されるのは「その他の疾患」という枠です
指定難病は、この枠でまとめて扱われます。決め方は、認定基準に一文だけ書かれていました。
客観的所見に基づいた日常生活能力等の程度を十分考慮して総合的に認定するものとする
「日常生活能力」が、この記事でいちばん大事な言葉です。日常生活がどれだけできなくなっているか、という意味になります。
等級のもとになるのが「一般状態区分表」です
診断書にも同じ表があって、主治医がア〜オのどれかにチェックを入れます。
ア
- どういう状態か
- 病気の前と変わらない
- 目安になる等級
- —
イ
- どういう状態か
- 力仕事は無理。事務や軽い家事はできる
- 目安になる等級
- 3級の目安
ウ
- どういう状態か
- 軽い仕事も無理。日中の半分以上は起きている
- 目安になる等級
- 2級・3級の目安
エ
- どういう状態か
- 日中の半分以上は寝ている。1人での外出はほぼ無理
- 目安になる等級
- 2級の目安
オ
- どういう状態か
- ほぼ寝たきり。常に介助がいる
- 目安になる等級
- 1級の目安
ただし基準は、この対応を「おおむね相当する」「認定に当たっては、参考とする」と書いています。
参考、です。この表だけで等級が決まるわけではありません。※ 原文は「無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの」(ア)のような書き方です。出典:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」第18節。
令和8年度は、いくらもらえるか
年金は2種類あります。初診日に会社員だった人は障害厚生年金と障害基礎年金の両方、そうでない人は障害基礎年金です。
障害基礎年金 1級
- 令和8年度の年額
- 1,059,125円。子がいれば1人につき243,800円が加算される
障害基礎年金 2級
- 令和8年度の年額
- 847,300円。同じく子の加算がつく
障害厚生年金 3級
- 令和8年度の年額
- 給与に応じた計算で、最低でも635,500円。子の加算はつかない
障害基礎年金に3級はありません。3級があるのは厚生年金保険だけです。
初診日に会社員だったか、そうでなかったか。それだけで、届く可能性のある等級が変わります。※ 金額は昭和31年4月2日以後生まれの場合です。それ以前に生まれた方は少し違います。振り込まれるのは2か月に1回、偶数月です。出典:日本年金機構「障害年金ガイド 令和8年度版」、厚生労働省「令和8年度の年金額改定について」。
ここまでが、もらえる額の話です。ただ、その手前に関門があります。障害年金が「難しい」と言われる理由|3つの要件と、年金が出なかった割合62.1%

「難しい」と言われるのは、病気の重さを見てもらう前に、通らないといけない関門が3つあるからだと思います。
① 初診日
- 中身
- その病気で初めて医師の診療を受けた日。この日に加入していた制度で、障害基礎年金になるか障害厚生年金になるかが決まる
② 保険料の納付
- 中身
- 年金保険料を納めてきたか。初診日のある月の前々月までの加入期間のうち3分の2以上を納めているか、直近1年に未納がないか
③ 障害認定日
- 中身
- 初診日から1年6か月たった日。その時点の状態で判断される
私の場合、初診日は会社員として働いていた時期でした。この場合、請求は障害厚生年金と障害基礎年金の両方を、1回でまとめて出す形になります。1級か2級なら両方が出て、3級なら障害厚生年金だけが出ます。
潰瘍性大腸炎が入る区分は、非該当が62.1%でした
次の表は、令和6年度に審査が終わった146,225件のうち、年金が出なかった割合です。
すべての種類(全体)
- 年金が出なかった割合
- 障害基礎年金 16.5% / 障害厚生年金 7.6%
血液・造血器・その他
- 年金が出なかった割合
- 障害基礎年金 62.1% / 障害厚生年金 21.9%
全体なら7〜16%です。そこまで高くありません。
ところが、潰瘍性大腸炎が振り分けられる「血液・造血器・その他」だけ、数字が別物になります。障害基礎年金だと、6割以上が非該当です。
※ 出典:日本年金機構「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」。これは診断書の種類別の数字で、潰瘍性大腸炎だけを取り出したものではありません。
ここからは、私が実際に何を用意したかを書きます。【私の記録】障害年金の必要書類|社労士なし、実費1万円、期間は1か月

集めるのにかかったのはおよそ1か月、実費は1万円ほどでした。
年金請求書
- 中身と、どこで手に入れるか
- 年金事務所でもらう。様式は請求の種類によって違うので、窓口で確認する
診断書
- 中身と、どこで手に入れるか
- 主治医に書いてもらう。私が使ったのは様式第120号の7(血液・造血器・その他の障害用)
受診状況等証明書
- 中身と、どこで手に入れるか
- 初診日を証明する書類。初診の病院に書いてもらう。転院していると、ここでつまずきやすい
病歴・就労状況等申立書
- 中身と、どこで手に入れるか
- 唯一、自分で書く書類。発病から現在までを時系列で書く
※ 私が出したのはこの4点です。必要な書類は請求の種類によって変わるので、診断書を書いてもらう前に年金事務所で確認してください(日本年金機構)。
初診のクリニックが1つだったので、初診日の証明はすぐ出ました
私が通ったクリニックは1つだけです。そこが初診であり、いまも主治医です。だから初診日の証明も診断書も、同じところで完結しました。しかも先生が、どちらもすぐ作ってくれました。
複数の医療機関を回っていたら、ここはもっと時間がかかっていたと思います。主治医からは「大腸を全部摘出しているような人でないと難しい」と言われました
診断書をお願いしたとき、主治医から最初に言われたのは、そもそも潰瘍性大腸炎で障害年金を受け取ること自体が難しい、という話でした。
理由として挙げられたのは、2つです。2回目・3回目の内視鏡では、軽い炎症があるくらいだったこと。そして、いちばん重かったときの血液検査でも、炎症の数字が上がっていなかったことでした。
いちばん重かったときは、1日14回の排便と、毎回の血便がありました。それでも、血液検査の炎症の数字は動いていません。※ 診察で主治医から聞いた話です。論文や公的資料で確かめられたものではありません。
診断書は、日々の診察でカルテに残っていた記録から書いてもらいました
診断書を書くのは医師なので、内容をこちらから指示することはできません。では何をもとに書かれるかというと、それまでの診察でカルテに残っている記録です。
主治医は、診察のたびに排便の回数と、便の状態と、そのときの体調を記録していました。そのため私は、あらためて資料を作って渡してはいません。
そのうえで先生は、納得がいくようにということで、当時どういう症状だったのかを、その場で改めて聞いてくれました。
医師が書くのは、ここまでです。残りの1枚は、自分で書きます。【私の記録】病歴・就労状況等申立書の書き方|私が5つの期間に分けて書いたこと

4点のうち、自分で書くのがこの1枚です。ここがいちばん時間がかかりました。
私は5つの期間に区切って書きました。
① 発病〜初診
- 何を書いたか
- 下痢と血便が出はじめ、会社員として休みにくく我慢していたこと。1日14回・毎回血便になって受診したこと
② 治療が行き詰まる〜退職
- 何を書いたか
- リアルダがアレルギーで使えず、アザニン・ゼポジア・レクタブルと変えても続けられる薬が決まらなかったこと。診断から半年ほどで退職したこと
③ 大きく悪化した時期
- 何を書いたか
- 1日5〜13回。最悪で1時間おき。夜も複数回起きる。1日の8割をベッドで過ごしていたこと
④ 薬の切り替えとステロイド再開
- 何を書いたか
- 腹部症状は少し楽になったが、朝3〜4時に目が覚めるようになり、生活のリズムが崩れたこと
⑤ 現在
- 何を書いたか
- 排便1日5〜8回。昼と夕方に仮眠が必要で、8時間の労働ができないこと
申立書の文章は、全部話してからAIにまとめてもらいました

いちばん時間がかかったと書きましたが、私が手を動かして文章を書いたわけではありません。
やったのは、音声入力でひたすら話すことです。いつ症状が出はじめたか、どんな検査を受けてきたか、どの薬をどう使って、そのとき仕事はどうだったか。思い出せることを、順番も気にせず全部しゃべりました。
そのうえで、話した内容だけを材料にして、申立書の文章に組み立ててもらいました。審査で見られるのは生活の制限なので、そこが伝わる書き方になっているかというところも含めて整えてもらっています。
足りない事実を作ってもらったわけではありません。材料は全部、そのとき私が話したことです。
なお、年金請求書のような様式そのものは、年金事務所へ行かないと手に入りません。AIでできるのは、中身を作るところまでです。
私がいちばん書いたのは、血液検査に炎症の数字が出ないことです
診断書のところで、血液検査で炎症の数字が上がっていないことを、主治医から難しさの理由として挙げられました。この部分だけは、私は納得できていません。
私の場合は、大腸の炎症が重くても、血液検査の数字には出ません。潰瘍性大腸炎と最初に診断されたときは重症でしたが、そのときも血液検査の数字はまったく出ませんでした。
だから病歴・就労状況等申立書には、この食い違いをいちばん大きく書きました。検査の数字だけを見れば落ち着いているように読めるのに、実際は排便が1日5〜8回あって、仮眠なしでは1日もたない。そのまま書いています。
あのとき「重かったときも数字は出ていなかったよね」と言ってもらえていたら、私はその説明を信用できたと思います。ただ、これは先生が悪いという話ではありません。医師にとって患者は他人なので、自分のこととして受け取るのは、そもそも難しい。そう考えるようになってから、私は自分で調べて動くようになりました。漢方を調べはじめたのも、そこからです。
そして、この記録が書けたのは、日々つけていたものがあったからです。排便の回数も、内視鏡の所見も、薬を変えた順番も、思い出す必要がありませんでした。
記録をつけておく理由

潰瘍性大腸炎と診断されたばかりのあなたへ
不安でいっぱいだと思います。
診断されたばかりの方へ通知が届いたら、まず日付を確認してください。結果に対してやり直しを求める手続き(審査請求)は、知った日の翌日から3か月以内と決まっています。
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よくある質問
Q. 潰瘍性大腸炎で障害年金はもらえますか?
A. 病名で決まるものではありません。日本年金機構の『国民年金・厚生年金保険 障害認定基準』の全体版PDF(142ページ)を全文検索しましたが、「潰瘍性大腸炎」「クローン病」「炎症性腸疾患」「大腸」はいずれも0件でした。そもそも消化器疾患という章がなく、指定難病は第18節「その他の疾患による障害」で扱われます。同節は「客観的所見に基づいた日常生活能力等の程度を十分考慮して総合的に認定する」としています。
Q. 潰瘍性大腸炎の障害年金は何級になりますか?
A. 診断書にある一般状態区分表のア〜オが目安になります。認定基準は「オは1級、エまたはウは2級、ウまたはイは3級におおむね相当する」としたうえで、「認定に当たっては、参考とする」と書いています。あくまで参考で、この区分だけで等級が決まる表ではありません。なお障害基礎年金に3級はなく、3級があるのは厚生年金保険だけです。
Q. 障害年金は年間いくらもらえますか?
A. 令和8年度は、障害基礎年金1級が年1,059,125円、2級が年847,300円です(昭和31年4月2日以後生まれ)。障害厚生年金3級は給与に応じた計算で、最低でも年635,500円です。子がいる場合は1人につき243,800円(3人目からは81,300円)が加算されます。振り込まれるのは2か月に1回、偶数月です。
Q. 潰瘍性大腸炎の障害年金は難しいですか?
A. 令和6年度に審査が終わった分でみると、年金が出なかった割合は全体で13.0%、障害基礎年金では16.5%でした。ただし潰瘍性大腸炎が振り分けられる「血液・造血器・その他」という診断書でみると、障害基礎年金は62.1%です。6割以上が非該当でした。これは診断書の種類別の数字で、潰瘍性大腸炎だけを取り出したものではありません。
Q. 障害年金の診断書は、どの様式ですか?
A. 私が使ったのは様式第120号の7(血液・造血器・その他の障害用)です。ただし日本年金機構は「使用する診断書の種類を確認する必要があるため、診断書を作成する前に必ず年金事務所等にご相談ください」としています。
Q. 障害年金が認められなかった場合、どうすればいいですか?
A. 決定を知った日の翌日から3か月以内なら、国の審査担当者にやり直しを求められます(審査請求)。ただしこれは「もう一度お願いする」制度ではなく、出された決定が正しかったかを見直してもらう手続きで、原則として前回と同じ書類で判断されます。症状が悪くなったときは、あらためて出し直す道もあります(事後重症請求)。