
アザニンの効果|「ほぼ寛解」と言われた日、排便回数は1日4回だった
アザニンは、落ち着いた状態を保つための薬です(成分名:アザチオプリン)。
私がいちばん長く、いちばん多く飲んだ薬がこれです。維持の薬は体への負担が軽い順に使いますが、いちばん軽いリアルダでアレルギーが出てしまったので、次に軽いアザニンへ進みました。
この記事の結論
- 2回使って、2回とも寛解を維持しきれませんでした。大腸全体の炎症はある程度まで抑えてくれたけれど、直腸のあたりの炎症だけは抑えきれなかった
- 副作用は私には出ませんでした。飲みにくさで困ったことはありません
- いちばんの後悔は薬ではなく、確かめ方です。内視鏡だけで判断して、便の数字を一度も測っていなかった
先生に「ほぼ寛解ですね」と言われて安心し、そのままアザニンを飲み続けました。そして数か月後、落ち着いていたはずの腸の状態が、また崩れました。
あのとき便の数字を測っていれば、アザニンだけでは腸の炎症を抑えきれていないことに、もっと早く気づけたかもしれない。それがこの記事でいちばん書きたいことです。
※ 私個人(潰瘍性大腸炎の当事者)の体験の記録です。医療者ではありません。効果には個人差があり、薬の判断は必ず主治医にご相談ください。自己判断で減らしたりやめたりしないでください。
アザニンとは|炎症を消す薬ではなく、落ち着きを保つ薬

知っておけばいいのは、役割だけだと思います。
薬の公式な説明書に書かれている効能は、「ステロイド依存性の潰瘍性大腸炎の寛解維持」です。ここが大事なところで、アザニンは炎症を消す薬ではありません。消えたあとの状態を、そのまま保つための薬です。
だからアザニンを使う場面も決まっています。
ステロイドは、続けられる薬ではありません。効いていても減らしていって、最後にはやめます。だからステロイドを始めた時点から、同時に維持の薬も始めます。ステロイドがゼロになったとき、炎症が戻ってこないようにするためです。
そして維持の薬には、順番があります。分かれ目は免疫を抑える薬かどうかです。リアルダなどの5-ASA製剤は免疫を抑えません。アザニンは抑えます。
免疫を抑える薬には感染症や悪性腫瘍のリスクがあるため、5-ASAで落ち着いている人にはそこまで進まない、というのが基本の考え方です。だから5-ASAが先で、その次にくるのがアザニンになります。私もその順番で進みました。
そしてもうひとつ。すぐには効きません。
- 添付文書:「臨床的な治療効果は3〜4ヵ月の投与ではあらわれない場合がある」
- 国の治療指針:「効果発現は比較的緩徐で、1〜3か月を要することがある」
飲み始めて数日で何かが変わる薬ではない、ということです。この「待たされる」性質が、あとで書く後悔に直結します。
※ 出典:アザニン錠50mg 添付文書(富士製薬工業)、厚生労働省研究班『潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 令和7年度改訂版』。用法は1日1〜2mg/kg(成人50〜100mg)。潰瘍性大腸炎では寛解維持のみが適応で、炎症を抑え込む目的では使えません。
私がアザニンを飲んだ経緯|リアルダが使えず、次に負担が軽い薬だった

最初の治療はプレドニン+リアルダでした。ところがリアルダでアレルギーが出て、使えなくなりました。
いちばん負担が軽い5-ASA製剤が最初から使えなかったので、次に負担が軽いアザニンから始めました。量は1日100mg(2錠)です。
飲む前にNUDT15という遺伝子の検査を受けました。重い副作用が出やすい体質かどうかを、飲む前に調べる検査です。これから始める方は、必ず飲む前に受けてください。
※ NUDT15検査は2019年2月から保険適用。日本人の約1.1%は重い白血球減少と全脱毛がほぼ必発のため原則として使用を回避、約17.8%は通常の半分程度から開始を考慮するとされています。出典:治療指針 令和7年度改訂版、日本消化器病学会『IBD診療ガイドライン2020』。
アザニンだけで「ほぼ寛解」と言われた|でも排便回数は4回で、血便も出ていた

アザニンがちゃんと効いているかを確かめるために、内視鏡検査をしました。
結果は——「ほぼ寛解ですね」。
正直、うれしかったです。プレドニンもリアルダもやめて、アザニンだけで持っている。そう言われたら、このままアザニンを飲み続ければいいと思うじゃないですか。
でも、体のほうはこうでした。
先生の評価
- そのときの状態
- 「ほぼ寛解」
排便回数
- そのときの状態
- 1日4回
血便
- そのときの状態
- 多少は出ていた
内視鏡の所見
- そのときの状態
- 直腸には、少し炎症があった
私はこの「ほぼ」と「少し」を、「もう少しで完全に落ち着く」という意味に受け取りました。
でも腸の状態は、落ち着く方向へは進みませんでした。このあと、まさにその直腸のあたりから炎症が広がっていきます。レクタブルをやめた途端に炎症が増え、私はプレドニンをもう一度飲むことになり、維持の薬はアザニンからゼポジアへ切り替わりました。
アザニンでいちばん後悔していること|内視鏡だけで判断して、数字を測っていなかった

ここがこの記事の本題です。
あの頃の私は、自分の腸の状態を「内視鏡でどう見えたか」だけで把握していました。便潜血もカルプロテクチンも、一度も測っていません。
そして今、いちばん後悔しているのがそこです。
内視鏡の所見は、先生が目で見て判断したものです。経験に裏打ちされた判断ではあるけれど、測った数字ではありません。
「内視鏡は主観的な検査ともいえる」——学会が、そう書いている
これは私が言い出したことではありません。日本消化器内視鏡学会のガイドラインに、はっきり書かれています。所見の評価は医師によって差が出ることが知られていて、内視鏡検査は主観的な検査ともいえる、と。
同じガイドラインは、潰瘍性大腸炎について「内視鏡的寛解の定義の統一はなされていない」とまで書いています。定義そのものが、まだ揺れている。
だからといって「内視鏡はダメだ」という話ではありません。ガイドラインは内視鏡的寛解を治療目標と明記していて、腸の状態を見るならこれがいちばん確かな方法だとしています。問題は、私が内視鏡「だけ」だったことです。
そして同じガイドラインは、治療がうまくいったあとの確かめ方も書いていました。治療後3〜6か月をめどに、内視鏡か便中カルプロテクチンで評価すべき、と。
内視鏡か、数字か、ではありません。組み合わせるものでした。私はその片方を、まるごと持っていなかった。
便潜血なら、内視鏡の合間を埋められた
調べていて、いちばん「知っておけばよかった」と思ったのがこれです。
便潜血は、便に血が混じっていないかを見る検査です。そして便中カルプロテクチンは、腸に炎症があるほど高くなるたんぱく質を測る検査で、炎症の強さが数字で出ます。この2つは、費用も回数の縛りもまったく違いました。
便潜血
- 3割負担
- 約110〜125円
- 回数の制限
- 対象の病気も回数も、制限なし
便中カルプロテクチン
- 3割負担
- 約800円
- 回数の制限
- 3か月に1回まで/大腸内視鏡と同じ月には受けられない
便潜血は100円ちょっとで、しかも回数の縛りがありません。内視鏡は年に何度もできる検査ではないけれど、便潜血なら、その合間を埋められた。
そして日本消化器病学会のガイドラインも、この2つは寛解期の潰瘍性大腸炎で、腸の炎症の強さを見るのに有用だとしています。
「ほぼ寛解」と言われたあの日、便潜血の数字が手元にあったら、私は何と言われても納得できたはずです。その数字が高ければ「腸の炎症はまだ残っている」と分かったし、低ければ本当に安心できた。そのどちらの材料も、私は持っていませんでした。
※ 出典:日本消化器内視鏡学会『炎症性腸疾患内視鏡診療ガイドライン』(2024年)、日本消化器病学会『IBD診療ガイドライン2020』、令和8年度 診療報酬点数表。便の数字にも外れがあるので、ガイドラインは1回の値ではなく動きを追い、高い状態が続くときは内視鏡で確かめることを勧めています。
何の数字で、どう線を引くのか

はじめての方へ|潰瘍性大腸炎回復ラボの使い方
血液検査と内視鏡だけでは足りない理由と、便の数字でどう線を引くのかをまとめています。
数字の決め方を見るアザニンの効果判定には2〜3か月かかる|その間、何も分からない

アザニンのいちばんしんどいところは、効いているかどうかが、すぐには分からないことです。
添付文書は「3〜4ヵ月の投与ではあらわれない場合がある」、治療指針は「1〜3か月を要することがある」。私の場合も、3か月以上経たないと判断できませんでした。
その数か月のあいだ、私がしていたことはただ待つことだけでした。
そして潰瘍性大腸炎の薬は、そもそも全部が難しいと思っています。
- 人によって効くかどうかが違う
- 効き始めるまでの時間も違う
- 効いたときの効き方も違う
- そして効き続ける保証もない
アザニンはこの4つが全部当てはまるうえに、判定に数か月かかる。その間ずっと「これ、効いてるのかな」と思いながら飲み続けることになります。
アザニンの副作用|私には出なかった。ただし血液検査は続ける薬

いちばん長く飲んだ薬ですが、副作用は私には出ませんでした。
飲みにくさもありません。1日2錠を飲むだけです。プレドニンのときのように眠りが崩れることも、体型が変わることもありませんでした。その点では、生活を邪魔しない薬でした。
ただし、だから安全な薬だという意味ではありません。
添付文書の「重大な副作用」には、血液障害・ショック様症状・肝機能障害・悪性新生物・感染症・間質性肺炎・重度の下痢・進行性多巣性白質脳症の8つが並んでいます。そしてそのすべてが「頻度不明」です。「何%の人に起きる」と言える数字が、ひとつもない。
だから血液検査を定期的に受け続けることが、この薬を飲む条件だと思っています。自分では気づけないものが多いので。
がんのリスクについても、正直に書いておきます。添付文書には悪性リンパ腫などの記載があります。ただし国の治療指針は、日本人ではこの薬による悪性リンパ腫の増加は確認されていないとしています。
※ 出典:アザニン錠50mg 添付文書、治療指針 令和7年度改訂版、日本消化器病学会『IBD診療ガイドライン2020』。膵炎・脱毛は「重大な副作用」ではなく「その他の副作用」の欄にあります。海外ではリンパ腫のリスク上昇が報告されていますが、日本の約37,000人を対象にした調査では上昇が認められていません。
まとめ(私の場合)
- アザニンは炎症を消す薬ではなく、落ち着きを保つ薬。ステロイドと同時に始める
- リアルダのアレルギーで5-ASA製剤が使えず、次に負担が軽いアザニンへ進んだ
- 2回使って、2回とも寛解を維持しきれませんでした。 直腸のあたりの炎症を抑えきれなかった
- 「ほぼ寛解」と言われた時点で、排便回数は1日4回・血便もあり・直腸には炎症が残っていた
- いちばんの後悔は、内視鏡だけで判断して、便潜血もカルプロテクチンも一度も測っていなかったこと
- 副作用は私には出ませんでした。ただし重大な副作用は全部「頻度不明」。血液検査は必須です
アザニンの量や期間は、必ず主治医の指示に従ってください。自己判断で減らしたりやめたりしないでください。そして飲み始める前に、NUDT15の検査を受けてください。
便の数字を測っていれば、「効いていたが、直腸の炎症を抑えるには弱かった」のか「最初からまったく効いていなかった」のかが分かったかもしれない。薬が効いているかを疑う前に、それを確かめる手段を自分が持っているか。それがこの数年でいちばん学んだことです。
よくある質問
Q. アザニンはどのくらいで効き始めますか?
A. 添付文書には「臨床的な治療効果は3〜4ヵ月の投与ではあらわれない場合がある」とあり、国の治療指針は「効果発現は比較的緩徐で、1〜3か月を要することがある」としています。すぐに効く薬ではありません。私の場合も、効いたかどうかの判断がつくまでに3か月以上かかりました。
Q. アザニンは潰瘍性大腸炎の何に使う薬ですか?
A. 添付文書の効能は「ステロイド依存性の潰瘍性大腸炎の寛解維持」です。落ち着いた状態を保つための薬で、炎症を抑え込む(寛解導入の)役ではありません。また「他の標準的な治療法では十分に効果が得られない患者に限ること」とされています。
Q. 飲む前に受けたほうがいい検査はありますか?
A. NUDT15という遺伝子の検査です。2019年2月から保険適用になっています。日本人の約1%(Cys/Cys型)はチオプリン製剤で重い白血球減少と全脱毛がほぼ必発とされ、国の治療指針は原則として使用を回避するとしています。約18%(Arg/Cys型)は少ない量から始めることを考慮するとされています。私も飲む前に受けました。
Q. 副作用はありましたか?
A. 私には出ませんでした。ただし添付文書には血液障害・肝機能障害・感染症・悪性新生物などが重大な副作用として並んでいて、いずれも頻度は「不明」とされています。数字で「何%」と言える副作用はひとつもありません。定期的な血液検査は必要です。
Q. 効いているかどうかは、どう確かめればいいですか?
A. 私の最大の後悔がここです。内視鏡の所見だけで判断して、便の数字(便潜血・便中カルプロテクチン)を測っていませんでした。日本消化器内視鏡学会のガイドラインは「治療効果が得られた場合には治療後3〜6カ月をめどに粘膜治癒を内視鏡もしくは便中カルプロテクチンで評価すべき」としています。内視鏡か数字か、ではなく両方です。


