重症UCから完全寛解した当事者の全記録潰瘍性大腸炎回復ラボ
食事療法体験談2026年8月7日 公開

遅延型フードアレルギー検査は意味ない?|私の使い方

遅延型フードアレルギー検査は、血液を採って食物に対するIgG抗体を測る検査です。数十〜200項目の食材を一度に調べて、食材ごとに色分けされた結果表が返ってきます。

私はこれを受けました。潰瘍性大腸炎と診断されて、原因が食べ物にあるんじゃないかとずっと考えていた時期です。

検索すると「意味ない」という言葉がよく出てきます。私はそれでも、受けてよかったと思っています。

この記事の結論

  • 検査は自由診療。採血して、数十〜200項目を一度に調べます
  • 遅れて出る食物の反応そのものは、医学的に実在します
  • 私は結果表を「診断」ではなく「何から試すか」の順番として使いました

この記事では、この検査が何を測っているのかという概要と、「意味ない」と言われている理由、そして私が結果表をどう使ったのかを書きます。

※ 私個人(潰瘍性大腸炎の当事者)の体験の記録です。医療者ではありません。検査や食事の判断は必ず主治医にご相談ください。

遅延型フードアレルギー検査とは|費用・項目数・IgGを測る仕組み

遅延型フードアレルギー検査は血液中の食物特異的IgG抗体を測る自由診療の検査であることを表した図

遅延型フードアレルギー検査に、保険はききません。すべて自由診療です。私が払ったのは27,600円でした。

やることは採血だけです。血液を送ると、食材ごとに数値と色分けの出た結果表が、こういう冊子で返ってきます。

遅延型フードアレルギー検査の結果報告書の表紙。IgG食物過敏症セミパネルと書かれている
私が受けた検査の報告書です。氏名・医療機関名・検査番号は消しています。

項目数は検査によって違い、数十項目から200項目以上まであります。

いちばん大事なのは、よく知られたアレルギー検査とは測っているものが違うということです。

一般的なアレルギー検査(即時型)

測る抗体
IgE抗体
出るタイミング
食べてすぐ。蕁麻疹など

遅延型フードアレルギー検査

測る抗体
IgG抗体
出るタイミング
「遅れて出る」とされる

IgEとIgGは別の抗体です。だから結果の読み方も変わります。

私が受けた理由|SNSで見た投稿だった

きっかけはSNSでした。有名な方が、お子さんにこの検査を受けさせて、出た食材を除いたらアトピーが出なくなったという投稿をしていました。それを見て、自分もやってみようと思いました。

潰瘍性大腸炎と診断されたばかりの頃で、「食べ物が原因なんじゃないか」とずっと考えていた時期です。腸の内側が炎症する病気なのだから、そこを毎日通っていく食べ物を疑うのは自然でした。

※ この検査は「遅延性フードアレルギー」「遅発型フードアレルギー」とも呼ばれますが、測っているものは同じ食物特異的IgG抗体です。

遅延型アレルギー検査は意味ない?|「診断には使えない」という意味でした

意味ないと言われているのは診断に使えないという意味であることを表した図

この検査を調べると、「意味ない」という言葉が必ず出てきます。何を指して「意味ない」なのか。そこを確かめました。

理由は2つに整理できました。

  • IgG抗体は、食物アレルギーのない人にも普通に存在する。症状のない健診受診者28,292人を調べた研究では、52.3%が陽性でした
  • だから日本アレルギー学会は、これを食物アレルギーの原因食品を「診断する」方法としては推奨しないとしています
つまり「この結果表だけで、原因の食べ物を決めてはいけない」ということです。

そして、これも事実です。時間をおいて出る食物の反応そのものは、医学的に実在します。FPIES(食物蛋白誘発胃腸炎症候群)や食物蛋白誘発直腸結腸炎のように、食べてから数時間〜数日後に症状が出る病気は、正式な疾患分類として認められています。

FPIES

症状が出るまで
食べてから1〜4時間

食物蛋白誘発直腸結腸炎

症状が出るまで
数日〜数か月

セリアック病

症状が出るまで
検査には6週間以上の連日摂取が必要
では、私はどう使ったのか。

私は、結果表を診断として使いませんでした。抜いてみて、自分の体が変わるかどうかを見る。何をどう抜いたのかは、この記事の後半に書きます。

※ 出典:日本アレルギー学会「食物特異的IgG抗体検査に関する注意喚起」(2015年)、Nutr Metab 2022(28,292人)、EAACI(Stapel 2008)、NICE CG116、厚労科研班『食物アレルギーの診療の手引き2023』。欧州・米国・カナダの学会は、検査を行うこと自体を推奨していません。また潰瘍性大腸炎を対象にした研究は世界に1本だけで、症状スコアは下がったものの内視鏡所見は改善せず、ECCO 2025は「IBDの寛解導入療法として推奨しない」としています。なお、非IgE介在性食物アレルギーの診断は、病歴・除去試験・食物経口負荷試験、病気によっては内視鏡と生検で行われます。

それでも受けてよかった理由|潰瘍性大腸炎の私の使い方

検査結果を診断ではなく何から試すかの順番として使ったことを表した図

私は、受けてよかったと思っています。

理由は「何から試すか」の順番が決まったからです。

潰瘍性大腸炎は、腸の内側が炎症する病気です。そこを毎日通っていくものを疑ってみる——その発想自体は、私にとって自然でした。でも食べ物は種類が多すぎて、どこから手をつければいいのか分かりません。

結果表は、その順番を決める材料になりました。出た食材を、実際に抜いて、自分の体で確かめる。変わらなければ戻す。それだけです。

変わらなければ戻せばいい、という考え方は、学会の言っていることとも一致します。米国のアレルギー学会は「検査が陽性でも、問題なく食べられている食物を食事から外すべきではない」としていますし、日本の診療の手引きも「"念のため"、"心配だから"といって、必要以上に除去する食物を増やさない」と書いています。

除去して確かめるやり方|期間・戻し方・記録

除去して戻す、という方法自体は公的機関が認めているやり方です。ただし決まりがあります。

期間

2〜6週間。だらだら続けない

戻し方

1品目ずつ、段階的に

記録

症状を書き留めておく

誰と

管理栄養士・医師に相談しながら

結果表に出た食材を、いっぺんに全部抜かないでください。ここがいちばん大事です。

多品目を長く除去すると、栄養が偏ります。そして長く抜いてから戻すと、以前は平気だった食べ物で強い反応が出ることがあります。期間を決めて、1つずつ戻す。それだけで避けられます。

※ 出典:NICE CG116 1.1.11、英国栄養士会(BDA)、ACG IBSガイドライン2021、AAAAI Position Statement(2010年)、厚労科研班『食物アレルギーの診療の手引き2023』。とくにお子さんの場合は、多品目の除去で成長に影響が出た報告があるため、必ず医師・管理栄養士に相談しながら進めてください。

同じやり方で食材を特定した記録

低FODMAPの効果|潰瘍性大腸炎の私に合わなかった食材の一覧

潰瘍性大腸炎で低FODMAP食を続けています。

低FODMAPの記録を見る
では、私の結果はどうだったのか。
遅延型フードアレルギー検査の結果表。非常に上昇・上昇・境界域・正常の4段階に食材が振り分けられている
実物の結果表です。ここから先で、そのまま出します。

返ってきたのは、4段階に振り分けられた一覧でした。

いちばん高かった食材は何だったのか。四毒抜きとどこまで合ったのか。そして10項目を抜いて1つずつ戻していった記録を、ここから書きます。

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よくある質問

Q. 遅延型フードアレルギー検査とは何ですか?

A. 血液中の食物特異的IgG抗体を測る検査です。数十〜200項目の食材を一度に調べ、食材ごとに数値と色分けの出た結果表が返ってきます。保険はきかず自由診療です。「遅延性」「遅発型」とも呼ばれますが、測っているものは同じ食物特異的IgG抗体です。

Q. 即時型のアレルギー検査と何が違いますか?

A. 測っている抗体が違います。食べてすぐ蕁麻疹が出るような即時型のアレルギーはIgE抗体を測りますが、遅延型フードアレルギー検査が測るのはIgG抗体です。別のものなので、結果の読み方も変わります。

Q. 遅れて出る食物の反応は、実際にあるのですか?

A. あります。非IgE介在性食物アレルギー(FPIES、食物蛋白誘発直腸結腸炎、セリアック病など)は正式な疾患分類で、食べてから数時間〜数日後に症状が出ます。時間をおいて出る反応そのものは、医学的に認められています。

Q. 「意味ない」と言われているのはなぜですか?

A. 日本アレルギー学会は、この検査を食物アレルギーの原因食品の「診断法としては」推奨しないとしています(2015年)。IgG抗体は食物アレルギーのない人にも存在し、摂取量に比例するためです。ただしこれは診断根拠にすることへの否定で、検査結果を「何から試すか」の材料として使うことについては、学会文書では論じられていません。

Q. 結果が出た食材は、除去したほうがいいですか?

A. 全部を一度に除去するのは勧められません。米国アレルギー学会は「検査が陽性でも、問題なく食べられている食物を食事から外すべきではない」としています。除去するなら2〜6週間と期間を決めて、1品目ずつ戻して確かめる方法が推奨されています。