
遅延型フードアレルギー検査は意味ない?|私の使い方
遅延型フードアレルギー検査は、血液を採って食物に対するIgG抗体を測る検査です。数十〜200項目の食材を一度に調べて、食材ごとに色分けされた結果表が返ってきます。
私はこれを受けました。潰瘍性大腸炎と診断されて、原因が食べ物にあるんじゃないかとずっと考えていた時期です。
検索すると「意味ない」という言葉がよく出てきます。私はそれでも、受けてよかったと思っています。
この記事の結論
- 検査は自由診療。採血して、数十〜200項目を一度に調べます
- 遅れて出る食物の反応そのものは、医学的に実在します
- 私は結果表を「診断」ではなく「何から試すか」の順番として使いました
この記事では、この検査が何を測っているのかという概要と、「意味ない」と言われている理由、そして私が結果表をどう使ったのかを書きます。
※ 私個人(潰瘍性大腸炎の当事者)の体験の記録です。医療者ではありません。検査や食事の判断は必ず主治医にご相談ください。
遅延型フードアレルギー検査とは|費用・項目数・IgGを測る仕組み

遅延型フードアレルギー検査に、保険はききません。すべて自由診療です。私が払ったのは27,600円でした。
やることは採血だけです。血液を送ると、食材ごとに数値と色分けの出た結果表が、こういう冊子で返ってきます。

項目数は検査によって違い、数十項目から200項目以上まであります。
いちばん大事なのは、よく知られたアレルギー検査とは測っているものが違うということです。
一般的なアレルギー検査(即時型)
- 測る抗体
- IgE抗体
- 出るタイミング
- 食べてすぐ。蕁麻疹など
遅延型フードアレルギー検査
- 測る抗体
- IgG抗体
- 出るタイミング
- 「遅れて出る」とされる
IgEとIgGは別の抗体です。だから結果の読み方も変わります。
私が受けた理由|SNSで見た投稿だった
きっかけはSNSでした。有名な方が、お子さんにこの検査を受けさせて、出た食材を除いたらアトピーが出なくなったという投稿をしていました。それを見て、自分もやってみようと思いました。
潰瘍性大腸炎と診断されたばかりの頃で、「食べ物が原因なんじゃないか」とずっと考えていた時期です。腸の内側が炎症する病気なのだから、そこを毎日通っていく食べ物を疑うのは自然でした。
※ この検査は「遅延性フードアレルギー」「遅発型フードアレルギー」とも呼ばれますが、測っているものは同じ食物特異的IgG抗体です。
遅延型アレルギー検査は意味ない?|「診断には使えない」という意味でした

この検査を調べると、「意味ない」という言葉が必ず出てきます。何を指して「意味ない」なのか。そこを確かめました。
理由は2つに整理できました。
- IgG抗体は、食物アレルギーのない人にも普通に存在する。症状のない健診受診者28,292人を調べた研究では、52.3%が陽性でした
- だから日本アレルギー学会は、これを食物アレルギーの原因食品を「診断する」方法としては推奨しないとしています
そして、これも事実です。時間をおいて出る食物の反応そのものは、医学的に実在します。FPIES(食物蛋白誘発胃腸炎症候群)や食物蛋白誘発直腸結腸炎のように、食べてから数時間〜数日後に症状が出る病気は、正式な疾患分類として認められています。
FPIES
- 症状が出るまで
- 食べてから1〜4時間
食物蛋白誘発直腸結腸炎
- 症状が出るまで
- 数日〜数か月
セリアック病
- 症状が出るまで
- 検査には6週間以上の連日摂取が必要
私は、結果表を診断として使いませんでした。抜いてみて、自分の体が変わるかどうかを見る。何をどう抜いたのかは、この記事の後半に書きます。
※ 出典:日本アレルギー学会「食物特異的IgG抗体検査に関する注意喚起」(2015年)、Nutr Metab 2022(28,292人)、EAACI(Stapel 2008)、NICE CG116、厚労科研班『食物アレルギーの診療の手引き2023』。欧州・米国・カナダの学会は、検査を行うこと自体を推奨していません。また潰瘍性大腸炎を対象にした研究は世界に1本だけで、症状スコアは下がったものの内視鏡所見は改善せず、ECCO 2025は「IBDの寛解導入療法として推奨しない」としています。なお、非IgE介在性食物アレルギーの診断は、病歴・除去試験・食物経口負荷試験、病気によっては内視鏡と生検で行われます。
それでも受けてよかった理由|潰瘍性大腸炎の私の使い方

私は、受けてよかったと思っています。
理由は「何から試すか」の順番が決まったからです。
潰瘍性大腸炎は、腸の内側が炎症する病気です。そこを毎日通っていくものを疑ってみる——その発想自体は、私にとって自然でした。でも食べ物は種類が多すぎて、どこから手をつければいいのか分かりません。
結果表は、その順番を決める材料になりました。出た食材を、実際に抜いて、自分の体で確かめる。変わらなければ戻す。それだけです。
変わらなければ戻せばいい、という考え方は、学会の言っていることとも一致します。米国のアレルギー学会は「検査が陽性でも、問題なく食べられている食物を食事から外すべきではない」としていますし、日本の診療の手引きも「"念のため"、"心配だから"といって、必要以上に除去する食物を増やさない」と書いています。
除去して確かめるやり方|期間・戻し方・記録
除去して戻す、という方法自体は公的機関が認めているやり方です。ただし決まりがあります。
期間
- 2〜6週間。だらだら続けない
戻し方
- 1品目ずつ、段階的に
記録
- 症状を書き留めておく
誰と
- 管理栄養士・医師に相談しながら
結果表に出た食材を、いっぺんに全部抜かないでください。ここがいちばん大事です。
多品目を長く除去すると、栄養が偏ります。そして長く抜いてから戻すと、以前は平気だった食べ物で強い反応が出ることがあります。期間を決めて、1つずつ戻す。それだけで避けられます。
※ 出典:NICE CG116 1.1.11、英国栄養士会(BDA)、ACG IBSガイドライン2021、AAAAI Position Statement(2010年)、厚労科研班『食物アレルギーの診療の手引き2023』。とくにお子さんの場合は、多品目の除去で成長に影響が出た報告があるため、必ず医師・管理栄養士に相談しながら進めてください。
同じやり方で食材を特定した記録

低FODMAPの効果|潰瘍性大腸炎の私に合わなかった食材の一覧
潰瘍性大腸炎で低FODMAP食を続けています。
低FODMAPの記録を見る
返ってきたのは、4段階に振り分けられた一覧でした。
いちばん高かった食材は何だったのか。四毒抜きとどこまで合ったのか。そして10項目を抜いて1つずつ戻していった記録を、ここから書きます。ここから先は会員限定です
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よくある質問
Q. 遅延型フードアレルギー検査とは何ですか?
A. 血液中の食物特異的IgG抗体を測る検査です。数十〜200項目の食材を一度に調べ、食材ごとに数値と色分けの出た結果表が返ってきます。保険はきかず自由診療です。「遅延性」「遅発型」とも呼ばれますが、測っているものは同じ食物特異的IgG抗体です。
Q. 即時型のアレルギー検査と何が違いますか?
A. 測っている抗体が違います。食べてすぐ蕁麻疹が出るような即時型のアレルギーはIgE抗体を測りますが、遅延型フードアレルギー検査が測るのはIgG抗体です。別のものなので、結果の読み方も変わります。
Q. 遅れて出る食物の反応は、実際にあるのですか?
A. あります。非IgE介在性食物アレルギー(FPIES、食物蛋白誘発直腸結腸炎、セリアック病など)は正式な疾患分類で、食べてから数時間〜数日後に症状が出ます。時間をおいて出る反応そのものは、医学的に認められています。
Q. 「意味ない」と言われているのはなぜですか?
A. 日本アレルギー学会は、この検査を食物アレルギーの原因食品の「診断法としては」推奨しないとしています(2015年)。IgG抗体は食物アレルギーのない人にも存在し、摂取量に比例するためです。ただしこれは診断根拠にすることへの否定で、検査結果を「何から試すか」の材料として使うことについては、学会文書では論じられていません。
Q. 結果が出た食材は、除去したほうがいいですか?
A. 全部を一度に除去するのは勧められません。米国アレルギー学会は「検査が陽性でも、問題なく食べられている食物を食事から外すべきではない」としています。除去するなら2〜6週間と期間を決めて、1品目ずつ戻して確かめる方法が推奨されています。