
潰瘍性大腸炎と整腸剤|処方と市販、4種類を飲んだ記録
潰瘍性大腸炎の治療をしながら、整腸剤を4種類飲みました。市販で自分で買ったものが3つ、主治医から処方されたものが1つです。
検索すると「潰瘍性大腸炎 整腸剤 おすすめ」という言葉が出てきます。ただ、出てくるのは病院と製薬会社の説明ばかりで、飲んだ人の話が見つかりませんでした。
なので、私が実際に飲んだ記録を、飲み始めからやめるまで順番に書きます。
この記事の結論
- 私は整腸剤を「補助」として飲んでいました。医師からもそう言われています
- 市販のビオフェルミンSは、途中で飲むのをやめました
- ほかの3つも、はっきりした変化は出ていません
※ 私個人(潰瘍性大腸炎の当事者)の体験の記録です。医療者ではありません。処方されている薬を、整腸剤やサプリメントに置き換えたり、自己判断で減らしたりしないでください。
潰瘍性大腸炎に整腸剤は効く?|承認された効能に、それはありません

記録に入る前に、そもそも整腸剤とは何なのかを先に片付けます。
整腸剤とは、乳酸菌やビフィズス菌といった菌を補って、腸内のバランスを整えるためのものです。市販で買えるものと、病院で処方されるものがあり、区分によって「医薬品」だったり「食品」だったりします。
私が飲んだ4種類も、こう分かれていました。
①
- 飲んだもの
- 新ビオフェルミンS錠
- 区分
- 指定医薬部外品
- どこで
- 自分で購入
②
- 飲んだもの
- ビオスリー配合錠
- 区分
- 医療用医薬品
- どこで
- 主治医が処方
③
- 飲んだもの
- ロイテリ菌のサプリ
- 区分
- 食品
- どこで
- 自分で購入
④
- 飲んだもの
- ビヒダス ビフィズス菌BB536
- 区分
- 機能性表示食品
- どこで
- 自分で購入
区分が4つとも違います。そして、それぞれの公式な表示を並べると、こうなります。
新ビオフェルミンS錠
- 効能・効果/届出表示
- 「整腸(便通を整える)、軟便、便秘、腹部膨満感」
ビオスリー配合錠(処方)
- 効能・効果/届出表示
- 「腸内菌叢の異常による諸症状の改善」
ビヒダス BB536
- 効能・効果/届出表示
- 「本品にはビフィズス菌BB536が含まれます。ビフィズス菌BB536には、大腸の腸内環境を改善し、腸の調子を整える機能が報告されています」
※ 出典:新ビオフェルミンS錠 添付文書、ビオスリー配合錠 添付文書(PMDA)、機能性表示食品 届出番号J471。ビオスリー配合錠に潰瘍性大腸炎の適応はなく、この広い文言の中で医師が判断して処方しているものです。
※ ビヒダス BB536 のラベルには、あわせてこう書かれています。「疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません」「疾病に罹患している者を対象に開発された商品ではありません」「疾病に罹患している場合は医師に相談してください」。
だから私は、補助として飲んでいました
それを分かったうえで飲んでいたので、私にとって整腸剤は最初から「補助」でした。医師からも「補助として使ってください」と言われています。
そのため、一つひとつの効果を計測したことはありません。四毒抜き、漢方、食事の見直し。並行して動かしているものが多すぎて、整腸剤だけを切り出して測ることができないというのもあります。
もうひとつ、飲んだ菌がそのまま腸に住みつくわけではないことも知っていました。むしろ、もともと腸にいる菌の栄養になっている——そういう話です。
※ FAO/WHOの専門家会合の報告は「プロバイオティクスの摂取が長期の定着につながった例はない。菌は数日から数週間で失われる」としています。国際プロバイオティクス学会(ISAPP)も「基本的に定着しない」「ただし定着しなくても効果は出る」としています。
値段は、月1,000〜2,000円ほどでした
Amazonで買っていたので、そのときの価格を出します。
新ビオフェルミンS錠
- 内容量
- 350錠
- 価格
- 1,719円
- 1か月あたり
- 約1,326円
ビオスリーHi錠(市販版)
- 内容量
- 180錠
- 価格
- 1,845円
- 1か月あたり
- 約1,845円
ビヒダス BB536
- 内容量
- 30日分
- 価格
- 1,490円
- 1か月あたり
- 約1,490円
※ 2026年8月10日時点のAmazon価格です。価格は変動します。処方のビオスリー配合錠の薬価は6.6円/錠(令和8年8月1日適用)ですが、これは薬の値段であって窓口で払う金額ではありません。
ここからが、実際に飲んだ記録です。いちばん長く飲んでいたものから順に書きます。
ビオフェルミンは潰瘍性大腸炎に効く?|私が飲むのをやめるまで

新ビオフェルミンS錠は、潰瘍性大腸炎になる前から飲んでいました。自分の判断で買って、そのまま診断後も続けています。漢方に出会うまでのほぼ全期間なので、4種類の中でいちばん長い付き合いでした。
その途中で、左の下腹部が痛むようになります。便も軟らかくなっていました。
薬を変えても、食事を変えても、そこだけが治りません。原因として思い当たるもので最後に残ったのが、ずっと飲み続けていた新ビオフェルミンS錠だったので、これが関係しているのではないかと考えて飲むのをやめてみました。
すると、1週間ほどで左の下腹部の痛みが軽くなりました。ただしあくまで仮説です。もう一度飲んで確かめたわけではありませんし、ちょうど四毒抜きを試している最中で、並行して変えたことも多くありました。そして潰瘍性大腸炎の左の下腹部の痛みは、S状結腸や直腸の炎症そのものの症状でもあります。
お腹の症状が変わったときは、市販薬やサプリを疑う前に主治医に連絡してください。
※ 潰瘍性大腸炎の患者を対象にした臨床試験のレビュー(Cochrane 2020)でも、血便・悪心・下痢・腹痛といった消化器症状のために服用を中止した例が報告されています。ただし中止に至った割合はプラセボと同程度で、プロバイオティクスに固有のものと証明されたわけではありません。
この市販薬と並行して、病院からも整腸剤が出ていた時期があります。炎症は少ないのに排便回数が多い|処方されたのはビオスリーでした

内視鏡で見ると炎症は少ないのに、排便回数が異常に多い——そういう時期がありました。この状態に対処するために処方されたのが「ビオスリー配合錠」でした。
ただし、血便を止めるための薬ではありません。医師からも「気休め程度」と説明されています。
そのためずっとではなく、ときどき処方されるという形で、飲む時期と飲まない時期がありました。
ビオスリー配合錠の中身は、3種類の菌です。乳酸菌(ラクトミン)
- 学名
- Enterococcus faecium T-110
酪酸菌
- 学名
- Clostridium butyricum TO-A
糖化菌
- 学名
- Bacillus subtilis TO-A
そして実際に飲んでみて、私自身も、はっきりした変化は感じませんでした。
※ この3菌の組み合わせを調べた試験があります(潰瘍性大腸炎60人、12か月)。3か月時点では差がつきましたが、6・9・12か月ではいずれも差がつきませんでした。米国消化器病学会は「明確な有益性は示されなかった」としています(相対リスク1.33、確実性は低い)。
市販も処方も、決め手にはなりませんでした。そこで、次は自分で選び直すことにします。
潰瘍性大腸炎で飲んだサプリ|腸内フローラ検査のあとに買った2種類

薬を変えたり、食事を変えたりを繰り返していた時期に、腸内フローラ検査を受けました。その結果、増やしたほうがいい菌が6種類挙がります。
そこから自分で選んで買ったのが、ロイテリ菌のサプリとビフィズス菌BB536(ビヒダス)の2つです。選ぶ根拠にしたのは、この検査結果でした。
それでも、はっきりした変化は出ませんでした。そのあと漢方に切り替えたので、2種類とも飲むのをやめています。
※ ビフィズス菌BB536については、軽症〜中等症の潰瘍性大腸炎56人を対象にした二重盲検の試験があります。8週間後に症状が落ち着いた人の割合は63%対52%で、差はつきませんでした(Dig Endosc 2016)。
6種類の候補が出た検査の記録

腸内フローラ検査でわかること|潰瘍性大腸炎の私が受けた正直な感想
潰瘍性大腸炎の私が、自由診療で腸内フローラ検査を受けました。
腸内フローラ検査の記録を見るここまでが、私が飲んだ4種類です。菌をとる方法としてもうひとつよく挙がるものにも、触れておきます。
潰瘍性大腸炎でヨーグルトは?|私が食べていない理由は糖です

「潰瘍性大腸炎 ヨーグルト」は、よく検索されている言葉です。菌をとる方法として、ヨーグルトがいちばん身近だからだと思います。
結論から書くと、私はヨーグルトを食べていません。理由は2つあります。
ひとつは、菌をとるだけなら他に方法があるからです。サプリでも、発酵食品でもいい。ヨーグルトである必要はありません。
もうひとつは、糖です。ヨーグルトには糖が多く含まれます。加糖のものはもちろん、無糖のものにも乳糖が入っています。
砂糖は腸内フローラを崩すとよく言われます。菌を足しながら、腸内フローラを崩すものも一緒に入れることになる。それなら菌だけをとったほうがいい、という判断です。
※ 砂糖と腸内細菌の関係は「よく言われている仮説」で、確かさは人によっても食品によっても違います。私が四毒(小麦・砂糖・乳製品・植物油脂)を抜いている理由と、その根拠をどこまで調べたかは、四毒抜きの記事に書いています。
砂糖と乳製品を抜いている理由

潰瘍性大腸炎の四毒抜き|具体的な方法と、私の体に現れた変化
四毒(小麦・砂糖・乳製品・植物油脂)とは何か、どこまで根拠があるのか、どう抜くのか。
四毒抜きの記録を見る潰瘍性大腸炎は整腸剤のみで良い?|4種類飲んで言えること

市販を1つ、処方を1つ、検査を根拠に選んだサプリを2つ。4通りの入り方をして、どれも決め手にはなりませんでした。
Googleで「潰瘍性大腸炎 整腸剤」と検索すると、関連する質問に、この質問が出てきます。
潰瘍性大腸炎は整腸剤のみ服用で良いですか?結論、整腸剤では治りません。
4種類飲んだ実感として、インパクトのある薬ではありません。そもそも薬ですらないものも含まれています。サプリに近い、補助です。
そして、これは私の体感だけの話ではありません。日本の公式な治療指針に、乳酸菌・ビフィズス菌製剤の記載はありません。米国消化器病学会は2020年に「潰瘍性大腸炎では臨床試験の中でのみ使用することを推奨する」としています。落ち着いた状態を保てるかを調べた国際的なレビューでも、結論は「効果は依然として不明」でした。
体感としても、医療の側から見ても、これで治すものではありません。処方されている薬を、整腸剤やサプリメントに置き換えないでください。血便・下痢の悪化・腹痛・発熱があるときは、サプリを疑う前に主治医に連絡してください。
では、何をすればいいのか。そこは別の記事に書いています。
治療の順番を、最初から

潰瘍性大腸炎と診断されたばかりのあなたへ
不安でいっぱいだと思います。
診断されたばかりの方へまとめ(私の場合)
- 整腸剤を4種類飲みました。市販が3つ、処方が1つ
- 区分は指定医薬部外品・医療用医薬品・機能性表示食品でバラバラ。承認された効能に「潰瘍性大腸炎」の文字はありません
- 私は最初から「補助」として飲んでいました。医師からもそう言われています
- いちばん長く飲んだ市販のビオフェルミンSは、途中でやめました(関係は仮説です)
- 処方のビオスリーも、検査を根拠に選んだ2種類も、はっきりした変化は出ていません
- 値段は月1,000〜2,000円ほど(2026年8月10日時点)
整腸剤について調べると、「どれがおすすめか」という話ばかりが出てきます。でも4通り試して、結果はどれもほとんど同じでした。
自分で買っても、医師が選んでも、検査結果を根拠にしても、変わりません。そもそも炎症を抑える薬ではないので、当たり前といえば当たり前です。医師が「補助として」と言うのも、そこに理由があります。
だから、補助としてなら飲む意味はあると思っています。ただ、そこに治療の期待をかけてしまうと、本来やるべきことが後回しになります。そこだけは、間違えないでください。
よくある質問
Q. 潰瘍性大腸炎に整腸剤は効きますか?
A. 日本の公式な治療指針(厚生労働省の研究班『潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針』令和7年度改訂版、日本消化器病学会『IBD診療ガイドライン2020』)に、プロバイオティクス(乳酸菌・ビフィズス菌製剤)の記載はありません。米国消化器病学会は2020年に「潰瘍性大腸炎では臨床試験の中でのみ使用することを推奨する」としています。※これは一般論で、個々の判断は主治医にご相談ください。
Q. 潰瘍性大腸炎にビオフェルミンは効きますか?
A. 新ビオフェルミンS錠は指定医薬部外品で、承認された効能・効果は「整腸(便通を整える)、軟便、便秘、腹部膨満感」です。潰瘍性大腸炎の適応はありません。私自身は長く飲んでいましたが、途中でやめています(あくまで私ひとりの経験です)。添付文書にも「医師の治療を受けている人」は服用前に相談するよう書かれています。
Q. 潰瘍性大腸炎は整腸剤だけを飲んでいれば良いですか?
A. いいえ。整腸剤は炎症を抑える薬ではありません。処方されている薬を整腸剤やサプリメントに置き換えないでください。市販の整腸薬の添付文書にも「医師の治療を受けている人」は服用前に相談するよう書かれています。
Q. 市販の整腸薬と処方の整腸剤は何が違いますか?
A. 区分が違います。市販の新ビオフェルミンS錠やビオスリーHi錠は指定医薬部外品で、承認された効能・効果は「整腸(便通を整える)、軟便、便秘、腹部膨満感」です。処方のビオスリー配合錠は医療用医薬品で、効能・効果は「腸内菌叢の異常による諸症状の改善」です。いずれも潰瘍性大腸炎そのものの適応があるわけではありません。
Q. 飲んだ菌は腸に住みつくのですか?
A. FAO(国連食糧農業機関)とWHOの専門家会合の報告は「これまでのところ、プロバイオティクスの摂取が測定可能な長期の定着につながった例はない。菌は数日から数週間で失われる」としています。国際プロバイオティクス学会(ISAPP)も「プロバイオティクスは基本的に定着しない」「ただし定着しなくても効果は出る」としています。
Q. 整腸剤は他の薬と一緒に飲んで大丈夫ですか?
A. 5-ASA製剤(ペンタサ錠)の添付文書に、整腸剤・乳酸菌製剤との相互作用の記載はありません。ただし抗菌薬と一緒に飲む場合は別で、抗菌薬に強い耐性乳酸菌の製剤(ビオフェルミンR錠など)が用意されています。飲み合わせは必ず主治医・薬剤師にご確認ください。


