
プレドニンの効果と副作用|潰瘍性大腸炎で3回使った私の記録
プレドニン(成分名:プレドニゾロン)は、潰瘍性大腸炎の炎症を強力に消すステロイドです。私もこれまでに3回使っています。
先に、この記事の結論から書いておきます。
この記事の結論
- プレドニンは維持の薬が効いてくるまでの「中継ぎ」です。炎症は消しますが、落ち着いた状態をキープする力はありません
- 効きは早いです。私は初回、2〜3日目で排便回数が10回以上から3回まで減りました
- 悪い薬ではありません。問題は次の維持の薬が決まらないこと。そこで副作用だけが積み上がっていきます
私は3回とも、これが必要でした。だから「使うな」とは思っていません。ただ、役割を勘違いすると、いつまでも手放せなくなる薬です。
この記事では、どういう役割の薬か → 効き方と減らし方 → 副作用 → 続けることの問題 → 私が3回使った記録の順に書いていきます。
※ 私個人(潰瘍性大腸炎の当事者)の体験の記録です。医療者ではありません。効果には個人差があり、薬の判断は必ず主治医にご相談ください。自己判断で減らしたりやめたりしないでください。
プレドニンは、維持の薬が効くまでの「中継ぎ」

プレドニンは炎症を一気に消す力がとても強い薬です。そのかわり、落ち着いた状態をキープする力はありません。
これは私の感想ではなく、国の治療指針にはっきり書かれています。
副腎皮質ステロイドは中等症以上の症例に対して、寛解導入を目的として使用される。(中略)副腎皮質ステロイドは寛解維持効果に乏しく、骨粗鬆症などの副作用の発症リスクを上昇させることから、寛解維持を目的とした長期投与は避けなければならない。
患者向けの難病情報センターにも「強力に炎症を抑えますが、再燃を予防する効果は認められていません」と書かれています。
つまりプレドニンは、単独では試合を終われない薬です。燃えている炎症を消して、そのあいだに維持の薬(リアルダ・アザニン・生物学的製剤など)が効いてくるのを待つ。効いてきたらバトンを渡して、自分は降りる。野球の中継ぎと同じ役割です。
だからプレドニンを使うときは、必ず「次に誰が投げるか」がセットで決まっています。
プレドニン錠は1錠5mg。国の治療指針の目安は、中等症で1日30〜40mg(6〜8錠)の飲み薬、重症なら入院して1日40〜80mgを点滴(体重1kgあたり1〜1.5mgが目安)です。
※ 薬の公式な説明書上の承認用量は「1日5〜60mg」(1〜12錠)。実際に何錠になるかは重症度と体重で決まるので、多い・少ないは主治医しか判断できません。
プレドニンの効きは早い。ただし判定は1〜2週間、ゴールは3か月

「何日で効き始めますか」は、いちばん知りたいところだと思います。ただ、それを書いた公的資料は見つかりませんでした。
かわりに国の治療指針が決めているのは判定のタイミングです。「ステロイド使用時の初期効果判定は1〜2週間以内に行い、効果不十分な場合は他の治療法の追加や切り替えを検討する」。
私の場合は、そんなに待っていません。はじめて使ったときは2〜3日目で、排便回数が1日10回以上から3回まで減りました。ただし2回目・3回目は効きが落ちています。
私の実感を先に読むなら
海外の調査では、始めて30日の時点でこうなっていました。
※ 出典:Faubion WA, et al. Gastroenterology. 2001;121:255-260.(米ミネソタ州、1970〜1993年)。生物学的製剤もJAK阻害薬もなかった時代の、人数の少ない調査です。日本人の寛解導入率の一次データは見つかりませんでした。
効いたら、次は減らしていきます。指針の書き方は「効果が出たら20mg(4錠)まで漸次減量、そこからは2週間ごとに5mg(1錠)程度ずつ」。そして原則3か月以内にゼロです。
ヨーロッパのガイドラインは「1回のコースは最長3か月まで」としています。3か月が、プレドニンに任せていい期間の上限だと思ってください。
減らす途中でぶり返す人が、5人に1人いる
プレドニンで炎症を抑えきれないパターンは2つあります。適正な量を1〜2週間使っても効かないのが「ステロイド抵抗」、減らす途中でぶり返す・やめるとすぐ再燃するのが「ステロイド依存」です。
さきほどの調査の1年後を見ると、持続して効いていた人が49%、依存になった人が22%、手術になった人が29%でした。
依存というのは、要するに「維持を任せられる薬がない」状態です。だから指針は、アザニンなどを併用して、そちらが効いてきたらプレドニンを減らす手順を示しています。ただしアザニンは効き始めがゆっくりで、1〜3か月かかることがあります。
※ 同じく Faubion 2001(米・1970〜1993年・63人)。生物学的製剤がなかった時代の数字なので、いまはもっと良いはずです。現代日本の数字は見つかりませんでした。
プレドニンの副作用|眠気・食欲・顔・感染症・骨密度

先に知っておいてほしいことがあります。プレドニン錠の添付文書には、副作用の「頻度」がひとつも書かれていません。重大な副作用12項目も、その他の副作用も、すべて「頻度不明」です。
だからネットで見かける「◯%の人に出ます」は、別の研究から持ってきた数字だと思ってください。
私に実際に出たものは、この記事の後半にまとめています。
私に出たものを先に読むなら
眠れないのに、日中に強い眠気が来る
いちばん生活を崩すのがここです。夜眠れない、早朝に目が覚める、そのぶん日中に強い眠気が来る。
添付文書には不眠・多幸症・易刺激性(=やたら元気になったり、イライラしやすくなったり)が並んでいます。気分の上下も出ます。
食欲が増えて、体重も増える
常に空腹という感じになります。添付文書にも「食欲亢進」「体重増加」が記載されています。
血糖値が上がることもあり、人によっては糖尿病の治療が必要になります。添付文書では糖尿病が「重大な副作用」に挙げられています。
顔が丸くなる(ムーンフェイス)
頬に脂肪がついて顔つきが変わります。医学用語では満月様顔貌といいます。
日本の研究では24週の時点で 37.6% の人に出ていて、いちばんのリスク要因は「1日30mg(6錠)以上で始めたこと」でした。
※ 出典:J Endocr Soc. 2024;8:bvae036.(山梨大学)。潰瘍性大腸炎に限った研究ではなく、いろいろな病気の人が含まれています。
感染症にかかりやすくなる
免疫の働きを抑える薬なので、風邪をひきやすくなり、治りにくくなります。
指針は、肺結核・肝炎・ニューモシスチス肺炎などに注意し、スクリーニングと経過観察を行うよう求めています。高齢の方では特に注意が必要とされています。
骨密度は、最初の数か月でいちばん速く下がる
骨密度が下がるのは「何年も飲んだ人の話」だと思われがちですが、逆でした。
GC開始後の骨減少率は初めの数ヵ月間は8〜12%と高く、その後は2〜4%/年の割合で減少する。加えて、骨密度減少が起きる前に骨折リスクの増加が起きる。
いちばん速く下がるのは飲み始めの数か月。しかも骨密度が下がる前に、骨折しやすさのほうが先に上がる。「測って、下がってから考える」では間に合わないという立場です。
飲み薬のステロイドを3か月以上使いそうなら、骨密度を測ったほうがいいか主治医に聞いてください。1日1.5錠以上でも対象になり得ます。
続けることの問題は、次の薬が決まらないこと

ここまで副作用を並べましたが、プレドニンが悪い薬だとは思っていません。
役割ははっきりしています。炎症を消して、そのあいだに維持の薬を効かせる。そこまでやってくれる薬は他にありません。
問題が起きるのは、次の維持の薬が決まらないときです。効かない、合わない、アレルギーが出る——そうなるとプレドニンを続けるしかなくなり、効果は変わらないのに副作用だけが積み上がっていきます。
だからヨーロッパのガイドラインは「1年のうちに2回目のステロイドが必要になったら、ステロイドを使わない治療への切り替えを考えるべき」としています。見直すべきなのはプレドニンではなく、維持の薬のほうという考え方です。
本当に考えるべきなのは「プレドニンをどう減らすか」ではなく、「維持を何に任せるか」です。自己判断でやめると、体がステロイドを作れなくなっている
もうひとつ、続けることに関わる注意です。
飲んでいる間、体は自分でステロイドを作るのをサボった状態になります。そこで急にやめると、体の中のステロイドがゼロになってしまう。
急に中止すると、発熱・脱力感・食欲不振・関節痛、ひどい場合はショックが起きることがあると添付文書に明記されています。必ず医師の指示で減らしてください。
やめてから6か月以内も免疫は完全には戻っていません(この期間は生ワクチンが打てません)。逆に事故や手術のときはむしろ増やす必要があるとされています。歯医者や他の科にかかるときは必ず伝えてください。
完全寛解・薬なしになるまでに、私は3回使った

私は結局、3回使っています。そして3回とも、維持の薬でつまずいたのが原因でした。
1回目|診断された直後、10錠から
症状が出はじめてから3か月ほどで診断がつきました。
このときが重症だったので、いきなり10錠(50mg)から始まりました。
方針は「プレドニンで炎症を消して、リアルダで維持する」。ところがリアルダでアレルギーが出て、維持を任せる薬が最初からなくなります。
そこで維持の薬をアザニンに切り替えて、プレドニンを終了しました。
ただ正直に書くと、アザニンがしっかり効いたという感じではありませんでした。重症のときのような炎症は出なくなりましたが、直腸からS状結腸あたりの炎症は残ったまま。そこから先には進めませんでした。
それでも診断から8か月後の内視鏡では「ほぼ寛解」と言われています。数字の上ではいちばん良かった時期です。
ただ、この状態を維持しきれずに、ここから切り替えていくことになります。
※ アザニンの効き方についてはアザニンの記事に詳しく書きます。
2回目|アザニン1本にしたら悪化し、ゼポジアへ切り替えたとき
プレドニンをやめたあと、しばらくはアザニンに加えて、大腸に効く弱めのステロイドを併用していました。レクタブルとコレチメントです。
これで炎症を押さえながら、最終的にレクタブルとコレチメントをやめて、アザニン1本にしました。
そこから、崩れます。
血便が増え、排便が1日10回以上になり、毎回血便が出る。腹痛も常にあって、体調そのものが落ちていきました。
ここでアザニンからゼポジアへ切り替える判断になりました。ただ炎症はもう始まっているので、ゼポジアが効いてくるまでのつなぎとして、2回目のプレドニンを併用しています。
使い方としては、指針に沿ったものだと思っています。ただ、こうなった原因はアザニンが維持しきれなかったことでした。
※ ゼポジアは比較的新しい薬です。使ってみた経過はゼポジアの記事に書きます。
3回目|アザニンに戻して1か月、便が1日15回まで増えた
ゼポジアのような強い薬は避けたくて、もう一度アザニンに戻しました。「四毒抜きなど食事を変えたいまなら、アザニンでも効くのではないか」という仮説でした。
ところが再開して1か月ほどで、血便が戻り、便の回数が1日15回まで増えた日もありました。夜も落ち着かず、仕事にならない状態です。
ここで8錠(40mg)から、3回目のプレドニンが始まりました。
そして、この3回目がいちばん最後です。ここから先はプレドニンを使わずに、完全寛解・薬なしまで持っていきました。血便が戻ってきたあの状態から、何をどの順番で変えたのか。そこがいちばん長い話になるので、別の記事にまとめています。
この3回目のあと、何をしたか

いま、再燃してつらいあなたへ
再燃したいま、ここからどう動くかが本当に大事です。
ここからの動き方を見るプレドニンで私に現れた効果|排便回数が3回まで減った

「効いた」というのが具体的に何なのか、書いておきます。私の場合は排便回数です。
1回目|2〜3日で、10回以上が3回になった
はじめて使ったときは、劇的でした。
1日10回以上あった排便が、2〜3日目には3回まで減りました。しかも便が固まってきたんです。ずっと形にならなかったものが、形を取り戻していく。
数字で確認する前に、体感のほうが先に来たという感じでした。
2回目・3回目|効きが、はっきり落ちていた
ところが2回目、3回目は違いました。
- 便が固まるほどには戻らなかった
- 回数も3回までは減らず、5回くらいで落ち着く
効かなかったわけではありません。楽にはなります。ただ、1回目のような「戻った」という感覚はありませんでした。
多い日は15回まで増えた
便も固まってきた
便は固まらず、ここで止まった
※ これは私ひとりの体験です。国の治療指針が「1〜2週間以内に効果判定」としているのは変わりません。数日で変化がないからといって「効いていない」と自己判断しないでください。
血便が戻ったのは、プレドニンを減らす途中ではなく切って1か月後

ここは、いちばん伝えたいところかもしれません。
減らし方は毎回だいたい同じでした。最初の1〜2週間は量を動かさない。2〜3日目で効いていても、そこはそのままです。効果を確かめるための期間だったと思います。
そして3週目くらいから、1週間ごとに減らしていきます。1錠ずつのときもあれば、2錠まとめて落とすときもありました。量が少なくなるほど慎重になります。
減らしている間は、ずっと維持できていた
そして減らしている間に、ぶり返したことは一度もありません。
3回とも、効いたところで排便回数と血便が落ちて、血便はほぼ出なくなります。そしてその状態が、プレドニンを減らしていってもずっと維持されていました。
だから減量そのものは、私にとって怖いプロセスではありませんでした。
体調が崩れたのは、プレドニンを切ったあとの1か月
問題はそのあとです。
プレドニンを切って、レクタブルやコレチメント、アザニンに渡したあと。そこから1か月ほど経つと、じわじわ戻っていきました。排便回数が増え、血便が戻ってくる。プレドニンを減らしている最中ではなく、プレドニンがいなくなってからです。
※ 日本消化器病学会は「漸減法については明確なエビデンスはない」と書いています。速い・遅いに正解があるわけではなく、そのときの炎症の状態を見ながら主治医が決めています。自分で勝手にペースを変えないでください。
私に出た副作用と、骨密度の結果

3回とも、副作用は出ました。いちばんきつかったのは眠りです。
夜眠れないのに、朝3〜4時に目が覚める。そしてその反動で、日中にとんでもない眠気が来る。
お腹の症状はプレドニンで楽になっているのに、生活リズムのほうが完全に崩れました。パソコンに向かっても集中できず、変な時間に仮眠を取らざるを得ない。
正直、「お腹は良くなったのに、生活は良くなっていない」という感覚でした。気分の浮き沈みも大きく、イライラしやすかったと思います。
そのほかに出たのは、こういうものです。
- 食欲が明らかに増えました。常に何か食べたい感じで、体重も増えています
- にきびが増えて、肌の調子も変わりました
- 風邪をひきやすくなった実感もあります
- 顔が丸くなるムーンフェイスは、少しだけ出ました。人に指摘されるほどではなく、自分で鏡を見て「あ、出てるな」と分かる程度です
骨密度は、測って基準内だった
「骨密度がいちばん怖い」と書いたので、私の結果も出しておきます。
骨密度は測っていて、結果は基準内でした。いまのところ下がっていない、と言われています。
そして正直に書くと、私には骨を守る薬(ビスホスホネートなど)は出ていません。
まとめ(私の場合)
- プレドニンは維持の薬が効くまでの「中継ぎ」。炎症は消すが、キープする力はない
- 効きは早い。私は初回、2〜3日で排便が10回以上から3回まで減った。便も固まってきた
- ただし2回目・3回目は効きが落ちた。便は固まらず、5回くらいで止まった
- 減らしている間は、一度もぶり返さなかった。血便が戻ったのはプレドニンを切って1か月ほど経ってから
- 添付文書には副作用の頻度が1つも書かれていない(すべて「頻度不明」)
- 出やすいのは眠気・食欲・顔が丸くなる・感染症、そして骨密度(最初の数か月で8〜12%下がる)
- 急にやめない。離脱症状が出る。やめて6か月以内も免疫は戻っていない
- 私は3回使った。①診断直後10錠 ②アザニン1本で悪化しゼポジアへ ③アザニンに戻して1か月で再燃、8錠
- 3回とも、原因はプレドニンではなく「維持の薬が決まらなかったこと」
- 骨密度は測って基準内。ただし骨を守る薬は出ていなかった
プレドニンの量やペースは、必ず主治医の指示に従ってください。自己判断で減らしたりやめたりしないでください。
私はそこで何度もつまずいて、最後は四毒抜きや漢方といった、薬以外で腸を持たせる方法にたどり着きました。その記録も読んでみてください。
よくある質問
Q. プレドニンはどのくらいで効きますか?
A. 「何日で効く」と書いた公的資料は見つかりませんでした。国の治療指針が定めているのは「1〜2週間以内に効いているかを判定し、効果不十分なら他の治療に切り替える」というルールです。私の場合は、はじめて使ったときは2〜3日目で排便回数が減りました。ただし2回目・3回目は効きが落ちています。あくまで私ひとりの体験です。
Q. どのくらいの期間飲むものですか?
A. 国の治療指針は「原則として投与後3か月以内をめどにプレドニゾロンから離脱する」としています。寛解維持(落ち着いた状態のキープ)を目的とした長期投与は避けるべき、と明記されています。
Q. 減らしていくと、またぶり返しますか?
A. 私の場合、減らしている間はぶり返しませんでした。ぶり返したのは「プレドニンを切って、次の維持の薬に切り替えたあと」です。維持の薬が効いていないと、そこから1か月ほどで戻っていきました。
Q. 骨密度への影響が心配です。
A. ステロイドによる骨密度の低下は、開始後の初めの数か月がいちばん速い(数か月で8〜12%)とされています。しかも骨密度が下がる前に骨折リスクのほうが先に上がります。心配なら主治医に「自分は骨密度を測ったほうがいいか」を聞いてみてください。
Q. 自己判断でやめてもいいですか?
A. だめです。急に中止すると発熱・頭痛・食欲不振・脱力感・筋肉痛・関節痛、ひどい場合はショックなどが起きることがあると添付文書に明記されています。必ず医師の指示のもとで少しずつ減らしてください。


