
潰瘍性大腸炎の四毒抜き|具体的な方法と、私の体に現れた変化
四毒抜きとは、小麦・砂糖・乳製品・植物油脂の4つを食事から抜くことです。潰瘍性大腸炎の私が、薬と並行していちばん長く続けている食事のやり方で、いまも続けています。
先に、この記事の結論から書いておきます。
この記事の結論
- まずは揚げ物・ラーメン・パンをやめる。ここだけで四毒の大半が落ちます
- つらいのは最初の2週間だけ。そこを越えると、食べたいとも思わなくなります
- 食べるものは困りません。うなぎ・焼肉・寿司は食べられます
いちばん伝えたいのは、2つめです。「一生この我慢が続くのか」と思うと始められませんが、実際にきついのは最初の2週間だけでした。そこを越えると体が楽になりすぎて、元に戻したいと思わなくなります。
この記事では、四毒とは何か → それぞれの理屈と私の実感 → どう抜くのか → 何を食べるのか → 私に何が起きたかの順に書いていきます。「なぜ腸に悪いと言われるのか」を、どこまで確かめられているかも含めて正直に書きました。
※ 私個人(潰瘍性大腸炎の当事者)の体験の記録です。医療者ではありません。食事や治療の判断は必ず主治医にご相談ください。
四毒とは、小麦・砂糖・乳製品・植物油脂の4つ

私が食事に手をつけた理由は、単純です。
薬は、腸の炎症を抑えるために飲みます。でも、食事も必ず腸を通ります。1日3回、自分で選んだものが、炎症のある場所をそのまま通っていく。
だったら、食事を変えることのインパクトも、かなり大きいんじゃないか——そう考えたのが始まりでした。
では、なぜこの4つなのか。共通しているのは、どれも「腸に悪さをしているかもしれない」と言われているものだということです。
- 小麦(グルテン)… 腸の壁は、細胞がぴったりくっついてできています。グルテンは、このつなぎ目をゆるめてしまうと言われます(=腸もれ・リーキーガット)
- 乳製品… 牛乳の乳糖を分解する酵素は、日本人には少ない人が多いと言われます。分解しきれないと、そのまま大腸まで届いて、ガスや下痢のもとになる
- 砂糖… 腸内細菌のバランスを崩し、腸を守っている粘液の層を薄くする
- 植物油脂… 酸化しやすく、炎症を起こす方向にはたらく
つまり四毒抜きは、腸に悪さをする可能性があるものに、先に対処しておくという考え方です。
では、この4つはそれぞれ、どういう理屈で腸に悪いとされているのか。そして私の体では、実際どうだったのか。
次で1つずつ見ていきます。
四毒が腸に悪いとされる理屈と、私の実感

ここからは、4つそれぞれについてなぜ腸に悪いとされるのかを説明していきます。あわせて、どこまで確かめられているのかと、私の体では実際どうだったかも正直に書きます。
4つは横並びではありません。理屈の確かさも、私が気をつけている度合いも、それぞれ違います。
小麦(グルテン)|4つのなかで、いちばん気をつけている
腸の壁は、細胞がぴったりくっついた「ふるい」のようになっていて、通すものと通さないものを分けています。グルテンは、このつなぎ目を一時的にゆるめてしまうと言われます。
すると、本来なら通らないはずのものが体の中に入り込み、体がそれを異物として攻撃してしまう。これが「腸もれ(リーキーガット)」と呼ばれるものです。
もう一つ、私が重く見ているのが血糖値です。小麦は血糖値を急に上げます。血糖値の急な上下は血管に負担をかけ、体の中で炎症を起こす方向にはたらくと言われています。
腸だけの話ではなく、体全体に炎症の火種をつくっている——そう考えると、腸に炎症を抱えている人間にとっては見過ごせません。
※ ここまでの仕組みは、試験管や動物の実験では示されています。ただし、人間の潰瘍性大腸炎で確かめられたわけではありません。20万人を追った調査でも、グルテンの摂取量と発症のなりやすさに差は出ていませんでした(Drago 2006/Lewis 2022/ECCO 2025)。
砂糖|甘い飲みものは、いちばん減らす価値がある
腸の内側は、粘液の層でおおわれて守られています。砂糖をとりすぎると腸内細菌のバランスが崩れ、この粘液を食べてしまう菌が増える。結果、腸を守る層が薄くなる、と言われます。
そして砂糖も、小麦と同じく血糖値を急に上げます。血糖値の急な上下は、体の中に炎症を起こす方向にはたらきます。
そのうえで、4つのなかで唯一、人間の大きな調査で関連が出ているのがここです。何十万人もの調査をまとめると、甘い飲みもの(ジュース・炭酸飲料)をよく飲む人は、潰瘍性大腸炎になりやすいという結果になります。
※ ただし「砂糖そのものが原因」とは言えません。甘い飲みものをよく飲む人は、加工食品全体をよく食べているからです。粘液の層が薄くなる話も、いまのところマウスの実験までです(Khan 2020/Kwok 2024/IOIBD 2020)。
乳製品|ここだけは、抜くこと自体にリスクがある
牛乳の乳糖は、酵素で分解されてから吸収されます。この酵素が少ないと、分解しきれなかった糖がそのまま大腸まで届き、ガスや下痢のもとになる——これが言われている理屈です。そしてこの酵素は、日本人には少ない人が多いとされています。
ただ、4つのなかで、ここだけは書き方を変えなければいけません。
「酵素が少ない人が多い」のは本当です。でも「だからお腹をこわす」は言いすぎです。酵素が少なくても、症状が出ない人はたくさんいます。
日本人843人の調査で、自分で「乳製品に弱い」と感じている人は約23%。裏を返せば、8割近い人は乳製品で困っていないということです。
そして、やめることのリスクのほうが、はっきり示されています。
調査では、乳製品を避けている人の8割がカルシウム不足、5割が骨密度の低下(=骨がもろくなっている)という報告があります。ヨーロッパの栄養学会(ESPEN)の指針は、「乳製品を避けること」は骨が弱くなる原因のひとつだと、はっきり書いています。
ステロイドを使っている人はもともと骨が弱くなりやすいので、乳製品の制限が重なると危険です。
乳製品を摂ると下痢や腹痛が起こりやすい体質の人では注意が必要ですが、それ以外では、乳製品の制限はありません
植物油脂|私はこれも完全に抜いている
サラダ油などの植物油には「リノール酸」という脂が多く含まれています。これが体の中でアラキドン酸という脂に変わり、そこから炎症を起こす物質がつくられる——これが言われている理屈です。
ここで一つ、私が重く見ている事実があります。潰瘍性大腸炎の腸の粘膜では、この炎症物質(ロイコトリエンB4など)が増えていることが報告されています。もとをたどれば、アラキドン酸から作られるものです。
つまり、炎症を起こす物質のおおもとを、毎日の食事から入れている可能性がある。そう考えると、私は油を放っておけませんでした。
もう一つが油の質です。ファストフードのフライドポテトや揚げ物のお店では、同じ油が何度も使い回されます。加熱をくり返した油は酸化が進み、体にとってさらに負担の大きいものになる、と言われています。
※ ただし正直に書くと、ここは筋道の途中がつながっていません。食事のリノール酸を9割減らしても、6倍に増やしても、血液中のアラキドン酸はほとんど変わらなかったという研究があります(Rett 2011)。「油を減らせば炎症物質が減る」とまでは、まだ言えません。
また、元になったヨーロッパの調査(EPIC 2009)は発症した人が126人・追跡4年と小さく、3倍以上の規模・26年追跡のアメリカの調査では同じ結果が出ませんでした(Ananthakrishnan 2014)。一方で超加工食品(お菓子・惣菜・加工肉など)は、10万人以上の国際調査でなりやすさとの関連が出ています(PURE study 2021)。
4つに優先順位をつけるなら
同じ「四毒」でも、私のなかでは扱いが少し違います。
小麦
- いまの私
- 完全に抜いている(いちばん反応が出る)
植物油脂
- いまの私
- 完全に抜いている(揚げ物・お菓子を断てば大半は消える)
乳製品
- いまの私
- 完全に抜いている(ただしカルシウムは別で確保する)
砂糖
- いまの私
- ほぼ抜いている(甘みははちみつで代用)
この順番は、研究の強さで決めたものではありません。自分の体にとって、どれがいちばんダメージとして返ってくるかを、記録で確かめて決めました。その方法は、後半で書きます。
やり方はありません。全部抜くだけです

正直に言うと、やり方らしいやり方はありません。全部抜くだけです。「少しずつ減らす」「まず1つだけ」といった段階を、私は踏みませんでした。
日常でやっているのは、この3つだけです。
- 買う前に成分表示を見る(最初は時間がかかりますが、すぐ慣れます)
- 揚げ物をやめる
- 外食をほとんどしない(よく考えると、外食は揚げ物とパンと麺だらけです)
つらいのは、最初の2週間だけ
とはいえ、「全部抜く」と聞くとしんどく感じると思います。だから、私が最初にどう乗り切ったかを書いておきます。
支えになったのは、モチベーションでした。
1日に何度もトイレに行って、そのたびに自分の時間が削られる。体がだるくて、やりたいことができない。あのしんどさは、経験した人にしか分からないと思います。
だからこそ、「これをやれば良くなるかもしれない」と思えたら、2週間くらいは頑張れるはずなんです。私はそうでした。
そして、ここがいちばん伝えたいところです。
記録が、あなたの優先順位を決めてくれる
もう一つ、四毒抜きとセットで必ずやってほしいのが記録です。
やることはシンプルで、前の日に何を食べて、どんな便が出たかを残していくだけ。それだけで、2つのことが起こります。
① 抜くことを意識できるようになる書くと決めると、口に入れる前に一度考えるようになります。これだけで、なんとなく食べてしまうことが減ります。
② 4つのうち、自分に何がいちばん効くのかが見えてくる四毒といっても、どれがいちばんダメージになるかは人によって違います。私の場合はそれが小麦でした。でも、あなたにとっては別のものかもしれません。
食べた日と食べなかった日で、排便回数・血便・お腹の調子がどう変わるか。記録というデータがあって初めて、自分の優先順位と、どこまで厳しくやるかの範囲を決められます。
記録のやり方は診断されたばかりのあなたへにも書いています。アプリで十分です。

私の実際の数値は、すべて公開しています。会員限定記事では、腸内フローラ検査の結果、便の検査値の推移、遅延性アレルギー検査で何に反応が出たか、治療費の実額まで——ぼかさずに、そのまま出しています。
すぐ試すなら
それでも難しければ、揚げ物・ラーメン・パンから

いきなり全部は無理、という人もいると思います。その場合は、削れる量が大きいものから手をつけてください。
まずは、揚げ物・ラーメン・パンの3つです。これだけで一気に落ちます。
- 揚げ物 … 植物油脂の最大の入り口
- ラーメン … 小麦+油。私がいちばん反応が出るのもこれ
- パン … 小麦。菓子パンなら砂糖と植物油脂も一緒に入ってくる
次に効くのが、加工食品をやめることです。四毒は、見て分かるものより加工されたものの中に隠れています。
- 惣菜・レトルト・練り物・加工肉 … 植物油脂と砂糖が入っていることが多い
- ドレッシング・マヨネーズ・カレーのルウ … 植物油脂+砂糖
- カフェのラテ・クリーム系のスープ … 乳製品
家で料理するときも、カレーのルウのような「加工されたもの」を使わない。これを意識するだけで、意識しなくても四毒が抜けていきます。調味料を塩・醤油・味噌・酢に寄せれば、ほぼ困りません。
四毒抜きで、代わりに何を食べるか

抜く話ばかりだと続かないので、実際に何を食べているかも書いておきます。結論から言うと、意外なほど困りません。
外食も、ちゃんとあります。うなぎ・焼肉・寿司。この3つは食べられます。どれも十分においしいので、「食べられるものがない」という感覚にはなりません。外食が完全になくなるわけではないんです。
ひとつだけコツがあります。焼肉のタレは使いません。塩だけで食べます。タレには砂糖と植物油脂が入っているからです。最初は物足りないかと思いましたが、後で書くように舌が敏感になるので、塩のほうが肉の味が分かっておいしいと感じるようになりました。
家で作るなら、もっと自由です。やることは油・小麦・乳製品が入っていないものを作る、それだけ。この条件でも、料理は無限にあります。私が実際にまわしているのは、こんなところです。
基本
- 食べているもの
- 白いごはん+焼いた魚・肉+野菜+味噌汁
- ひとこと
- シンプルに焼くだけ。これがいちばん多い
鍋
- 食べているもの
- 好きな具材を入れるだけ
- ひとこと
- いちばんのおすすめ。油も小麦も使わず、野菜もたっぷり摂れる
揚げ物
- 食べているもの
- ノンフライヤー+米粉・米パン粉
- ひとこと
- 揚げ物も食べられます。油を使わずに作れるので、ここは本当に助かっています
魚介
- 食べているもの
- エビ・イカ・貝を焼く
- ひとこと
- 淡白に見えて満足感がある
中華
- 食べているもの
- 油を使わない作り方に置き換える
- ひとこと
- 中華も、工夫すればちゃんと作れます
甘いもの
- 食べているもの
- はちみつ
- ひとこと
- 料理の甘みも、これで足ります
外食
- 食べているもの
- うなぎ・焼肉・寿司
- ひとこと
- 焼肉はタレを使わず塩で。意外と、おいしいものが残っています
レシピはネットにいくらでもあります。「四毒抜きだから食べられない」ではなく、「この条件で何を作ろうか」に頭を切り替えると、一気に楽になります。
ここがいちばん大事なのですが、抜くことに気を取られて、食べる量そのものが減ってしまわないようにしてください。潰瘍性大腸炎は、炎症から回復するのにもエネルギーが要ります。食べられるものが減って栄養が偏るほうが、体には危険です。
体重が落ちているとき・炎症が強いときの食事は、必ず主治医(できれば管理栄養士)に相談してください。
抜いてみて、私が変わったこと

私はもともと、小麦・お菓子・揚げ物が大好きでした。だから最初はきつかったのですが、完全に抜いたあと、こういう変化がありました。
① 体が軽くなり、頭の回転が速くなったこれは間違いありません。いちばん最初に気づいた変化です。
② 睡眠時間が短くて済むようになった以前は10時間以上寝ないと、体が重くてきつかった。いまは7〜8時間で足りますし、6時間でも平気な日があります。起きている時間が増えました。
③ 昼食後の眠気がなくなった血糖値の急な上下が減ったのだと思います。昼寝をしなくてよくなりました。
④ 体重が自然に落ちたしかも、ごはんは我慢していません。白いごはんは食べていいので、多めに食べても勝手に落ちていきました。ダイエットをしたつもりはありません。
⑤ 肌が変わった。ニキビが減ったこれは想定していなかった変化でした。
⑥ 舌が敏感になり、味がわかるようになったこれが、私にとっていちばん意外で、いちばん嬉しかった変化です。
逆に、いま小麦系を食べると翌日はほぼ必ず下痢になります。抜いていたからこそ、食べたときの反応がはっきり見えるようになりました。
自分の体が何に反応するかを知ること——四毒抜きの本当の価値は、そこにあると私は思っています。
※ あくまで私ひとりの体験(n=1)です。同じことが起こるとは限りません。
まとめ(私の場合)
- 四毒=小麦・砂糖・乳製品・植物油脂。4つとも、腸に悪いとされる理屈がある
- 私は小麦・植物油脂・乳製品は完全に、砂糖はほぼ抜いています(甘みははちみつ)
- いちばん反応が出るのは小麦。ラーメンを食べればその日のうちに下痢や血便が出ます
- やり方はありません。全部抜くだけ。ただしつらいのは最初の2週間だけで、そこを越えると食べたいとも思わなくなります
- 記録をとってください。4つのうち何が自分にいちばん効くかは、記録でしか分かりません
- 一気に無理なら、揚げ物・ラーメン・パンから。これだけで大きく削れます
- 食べるものは意外と困りません。鍋とノンフライヤーは本当におすすめです
- 変わったこと=体が軽い/睡眠が短くて済む/昼の眠気が消えた/体重が落ちた/肌がきれいに/舌が敏感になって味が分かるようになった
潰瘍性大腸炎でいちばん大事なのは薬をきちんと続けることで、食事はその代わりにはなりません。食事を変えるときは、必ず主治医に相談してください。
食事は、薬と違って自分で決められる数少ない部分です。そのぶん、自分の体で確かめるしかない領域でもあります。
研究が「効かない」と言っていても、あなたの体が反応するかどうかは、また別の話です。私の結果をそのまま当てはめず、記録をとりながら、あなたの反応を見つけてください。
※ 国の研究班のQ&Aにも「食事のみで治療を行うことは勧められません」「寛解期(症状が落ち着いている時期)であれば食事に関して特別な制限を必要としません」と書かれています。
よくある質問
Q. 四毒抜きは、何から始めればいいですか?
A. まずは揚げ物・ラーメン・パンの3つをやめてください。これだけで四毒の大半が落ちます。次に、惣菜やレトルト、カレーのルウなどの加工食品を使わないようにしていくと、意識しなくても抜けていきます。
Q. 少しずつ減らしていく形でもいいですか?
A. 私は少しずつではなく、全部抜きました。少しずつだと、体調が変わっても何のおかげか分からなくなるからです。私の場合、つらかったのは最初の2週間だけで、そこを越えると食べたいとも思わなくなりました。ただし、食べる量そのものが減らないようにだけ気をつけてください。
Q. 四毒抜きをすれば潰瘍性大腸炎は良くなりますか?
A. そうは言えません。潰瘍性大腸炎の原因は分かっておらず、食事で治るという話ではありません。私の場合は体調の変化を感じましたが、たった一人分の体験(n=1)です。薬の判断は必ず主治医としてください。


