重症UCから完全寛解した当事者の全記録潰瘍性大腸炎回復ラボ
薬の体験談体験談2026年8月4日 公開

ゼポジアの効果と副作用|3か月目に効いた当事者の記録

ゼポジア(成分名:オザニモド)は、免疫の細胞を、腸に行かせないようにする薬です。発売は2025年3月。潰瘍性大腸炎では日本で最初のタイプの薬で、まだ新しい薬です。

新しいので、飲んだ人の記録がほとんど見つかりません。検索して出てくるのは、製薬会社の資料と、臨床試験の数字です。

だからこの記事は、これから飲む人と、飲み始めたけれど何も変わらなくて不安な人に向けて書きます。

いちばん書き残したいのは、これです。私は先生から「1〜2週間で効いてくる」と聞いていましたが、最初の2か月、排便回数も血便もまったく変わりませんでした。そして3か月目に、便が安定しました。

2か月でやめていたら、3か月目の変化はありませんでした。あとから調べたら、そもそも「いつ効きはじめるか」のデータが公的な資料に存在しないと分かりました。それも本文に書きます。

この記事の結論

  • 最初の2か月は、排便回数も血便も変わりませんでした
  • 3か月目に、一気に効きました。排便回数が1日2回まで減り、便も固まって安定。頭の回転も眠りも変わりました
  • ただし免疫を下げる薬です。蜂窩織炎になり、風邪もひきやすくなり、やめました

※ 私個人(潰瘍性大腸炎の当事者)の体験の記録です。医療者ではありません。効果には個人差があり、薬の判断は必ず主治医にご相談ください。自己判断で減らしたりやめたりしないでください。

ゼポジアとは|リンパ球を、腸に行かせない薬

リンパ球をリンパ節に留めて腸に行かせないことで炎症を抑えるゼポジアの仕組みを表した図

この薬の仕組みは、あとの副作用の話とそのままつながります。先に見ておくと読みやすいので、短く書きます。

潰瘍性大腸炎では、免疫の細胞が自分の腸を攻撃してしまいます。その細胞のひとつがリンパ球です。

リンパ球はふだん、リンパ節という体じゅうにある待機場所にいます。そこから血管に出て、体を回り、腸に届く。ゼポジアは、この「リンパ節から出る」ところをふさぎます。

ふだん

リンパ球はどう動くか
リンパ節から血管に出て、体を回り、腸に届く

ゼポジアを飲むと

リンパ球はどう動くか
リンパ節から出られなくなる。腸に集まる細胞が減り、炎症が落ち着く

同時に起きること

リンパ球はどう動くか
腸以外にも回らなくなる。感染症にかかりやすくなる

表の3行目が、私がこの薬をやめた理由です。効く理由と、免疫が下がる理由は、同じひとつの仕組みです。片方だけを起こすことはできません。

※ 出典:ゼポジア添付文書、潰瘍性大腸炎の治療指針(令和7年度改訂版)。治療指針の原文は「リンパ球の二次リンパ組織から血中への遊出を抑制する」。

始めた経緯|アザニンと併用できないので、やめて入れ替えた

アザニンでは寛解を維持できず、併用できないためアザニンをやめてゼポジアに切り替えたことを表した図

ゼポジアを始める前、私が飲んでいたのはアザニンでした。私がいちばん長く飲んだ薬です。落ち着いた状態を保つための薬ですが、寛解を維持できませんでした。血便が戻り、排便回数も増えていく。

そこで先生から出てきたのが、ゼポジアです。

先に書いておくと、私はゼポジアを2回使っています。この記事で書くのは1回目の話です。

1

飲んだ薬
アザニン
どうなったか
寛解を維持できなかった

2

飲んだ薬
ゼポジア(この記事)
どうなったか
3か月目に効いたが、感染症が出てやめた

3

飲んだ薬
アザニン
どうなったか
戻ったが、また維持できなかった

4

飲んだ薬
ゼポジア
どうなったか
もう一度使うことになった

ただし、この2つは一緒に飲めません。国の治療指針で、併用しないことになっています。

つまり「足す」のではなく「入れ替える」アザニンをやめてから、ゼポジアを始めることになります。

※ 出典:治療指針 令和7年度改訂版、ゼポジア添付文書 7.5。原文は「オザニモドを選択した場合はチオプリン製剤(アザニンなど)を併用しないこと」。

この前に飲んでいた薬

アザニンの効果|「ほぼ寛解」と言われた日、排便回数は1日4回だった

潰瘍性大腸炎でアザニン(アザチオプリン)を2回使いました。

アザニンの記録を見る

ゼポジアの効果|最初の2か月は、排便回数も血便も変わらなかった

ゼポジアを飲み始めて2か月は排便回数も血便も変わらなかったことを表した図

飲みはじめる前、私は先生からこう聞いていました。

ところが、排便回数も血便も、何ひとつ変わりませんでした。

排便回数は1日に何回も出るまま。血便も普通に出ていました。正直、きつかったです。1か月経っても、2か月経っても同じでした。

聞いていた期間の、4倍以上が過ぎていました。

ただし、これは「効かない薬だった」という意味ではありませんでした。あとから薬の公式な説明書を読んで、2つのことが分かりました。

1つめ。「いつ効きはじめるか」のデータが、日本の公的な資料にはありません。メーカーが医師向けに出している資料でも、「作用発現時間」の欄は「該当資料なし」と書かれています。

2つめ。効いたかどうかの判定は、12週(約3か月)に置かれています。説明書には「12週の時点で反応がなければ、他の治療への切り替えを考える」とあります。

国が承認するときの審査報告書に、なぜ12週なのかの理由がありました。海外の試験で、9週目を過ぎてから効きはじめる人が増えていたからです。だから判定を、そこより後の12週に置いている。

2か月は、まだ判定の時期ですらありませんでした。

※ 出典:ゼポジア添付文書 7.4、インタビューフォーム(作用発現時間:該当資料なし)、PMDA審査報告書 7.R.1.1.1。海外試験の事後解析では2週で症状が下がりはじめたとの報告がありますが、日本の公的資料には載っていません。

効いたのは3か月目|排便回数が2回まで減り、便が固まった

3か月目に排便回数が2回まで減り、便が固まって安定し、頭の回転や眠りも変わったことを表した図

3か月目に入って、一気に効きました。

少しずつ良くなっていったのではありません。前の日まで2か月間まったく変わらなかったのが、ある日、突然でした。

  • 血便がなくなりました
  • 排便回数が、1日2回まで減りました
  • 便が固まりました
私にとっていちばん大きかったのは、3つめです。

排便回数が減っても、出ているものが水のようなままなら、まだ落ち着いていません。このとき初めて、形のある便——いわゆるバナナのような便が出るようになりました。しかも一度きりではなく、安定してそうなりました。

そして変わったのは、腸だけではありませんでした。

  • 頭の回転が良くなった——考えがまとまるようになった
  • 眠りが良くなった——寝つきも、朝の目覚めも
  • 短い睡眠でも動けるようになった

腸だけでなく、頭も睡眠も変わりました。これは他の薬では経験しませんでした。

ひとつ、正直に書いておきます。この時期、私は同時に四毒抜きと、自律神経を整えることも始めていました。だから「便が安定したのはゼポジアのおかげ」と、私には言い切れません。3つを同時に変えてしまったので、どれがどれだけ効いたのかを分けられないんです。

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ゼポジアの副作用|免疫が下がり、感染症にかかりやすくなった

ゼポジアは体を回るリンパ球を飲む前の約49%まで減らすため、感染症にかかりやすくなることを表した図

ゼポジアは、私の排便回数を減らしてくれました。それでもやめた理由が、ここです。

私に出たのはこの3つでした。

  • ふくらはぎが蜂窩織炎(ほうかしきえん)になった——皮膚の下で細菌が広がる感染症です
  • 虫刺されが、いつまでも治らなくなった
  • 風邪をひきやすくなった

どれも腸の症状ではありません。体の別のところで、感染症にかかりやすくなっていました。

※ 蜂窩織炎はゼポジアの説明書に副作用として載っていません。国内の試験(168人)で1例の報告がありますが、薬との関係は認められていません。私に起きたことです。

リンパ球が、半分近くまで減る

これは私の感覚だけの話ではありません。薬の資料に、数字で書かれていました。飲む前と比べて、体を回っているリンパ球が約49%——半分近くまで減るとあります。「腸に行かせない」薬なので、当然そうなります。最初の表に書いた3行目が、実際に私の体で起きていました。

だから飲んでいる間は、検査が続きます。

  • 血液検査——飲む前と、飲んでいる間ずっと定期的に
  • リンパ球が一定の数を下回ったら、いったん中止。戻るまで再開しない
  • 飲む前に心電図、飲んでいる間は目の検査も定期的に
  • 生ワクチンは打てません

副作用としてリンパ球が減った人は10.2%でした。

なお説明書に感染症として載っているのは、帯状疱疹(2.8%)・口の中のヘルペス(0.6%)・のどの奥の炎症です。私に出たものは、そこには載っていません。

※ 出典:ゼポジア添付文書 8.4/11.1、医薬品リスク管理計画書、PMDA審査報告書。他に重い副作用として、肝機能障害4.5%、脈が遅くなる不整脈1.7%、目の奥がむくむ黄斑浮腫0.6%。

やめた理由|長く飲み続けることを、考えられなかった

便は安定していたが免疫を下げた状態を何年も続けることを考えてゼポジアをやめたこと、やめても3か月は免疫が戻らないことを表した図

これまでにやめた薬は、どれも排便回数も血便も変わらなかったからやめました。ゼポジアは違います。排便回数は1日2回まで減り、便も安定していました。

それでもやめたのは、目の前に出ている感染症だけが理由ではありません。

考えたのは、この先のことでした。ゼポジアは、寛解を保つために長く飲み続ける薬です。飲みはじめて数か月で蜂窩織炎になり、虫刺されが治らず、風邪をひきやすくなっている。この状態のまま何年も飲み続けて、出てくるのはこの3つだけで済むのか。

腸は落ち着いていました。でもそのために、免疫を下げた状態を何年も続けることになります。そのあいだに体で何が起きるのかは、飲んでいる私には分かりません。

腸が落ち着いていることと、この先ずっと飲み続けることは、別の話でした。私は続けないほうを選びました。

※ これは私の判断です。同じ薬を長く続けている人はたくさんいます。効いている薬を続けるか変えるかは、必ず主治医と決めてください。

これは私の場合の判断です。効いている薬をやめるかどうかは、必ず主治医と決めてください。ゼポジアはいきなりやめると、再開するときに少ない量からやり直す必要がある薬でもあります(心拍数が下がるのを防ぐため)。自分だけで判断していい薬ではありません。

そしてもう1つ、知っておいたほうがいいことがあります。やめても、すぐには免疫が戻りません。

説明書には「薬が体から抜けるのに3か月かかることがあるため、その間も感染症に注意を続けること」と書かれています。審査報告書の推定では、リンパ球の数がもとに戻るのはやめてから2か月で66%、3か月で79%の人です。

やめたあとも、しばらくは免疫が下がったままです。

※ 出典:ゼポジア添付文書 7.2/8.7、PMDA審査報告書 7.R.2.4.4(353例からの推定)。

まとめ(私の場合)

  • ゼポジアはリンパ球を腸に行かせない薬。日本では2025年3月発売の新しい薬。アザニンとは一緒に飲めません
  • 先生からは「1〜2週間で効いてくる」と聞いていましたが、最初の2か月は排便回数も血便も変わりませんでした
  • 「いつ効きはじめるか」のデータは、日本の公的資料にありません。判定は12週に置かれています
  • 3か月目に排便回数が1日2回まで減り、便も固まって安定しました
  • ただし同時に四毒抜きと自律神経のことも始めたので、どれがどれだけ効いたのかは分けられません
  • 免疫が下がる薬。リンパ球が約半分に減る。蜂窩織炎になり、長く続けることを考えてやめました

ゼポジアの量や期間は、必ず主治医の指示に従ってください。自己判断で減らしたりやめたりしないでください。

私にとってのゼポジアは、便を安定させてくれたけれど、この先も飲み続けようとは思えなかった薬でした。

このあと私はアザニンに戻り、そこでも寛解を維持できず、もう一度ゼポジアを使うことになります。

よくある質問

Q. ゼポジアはどのくらいで効果が分かりますか?

A. 「いつ効きはじめるか」を示すデータは、日本の公的な資料にはありません。メーカーが医師向けに出すインタビューフォームでも「作用発現時間」の欄は「該当資料なし」です。効いたかどうかの判定は12週(約3か月)に置かれており、審査報告書には「9週以降も投与を続けることで改善が認められる人の割合が増える」と示唆されたためだと書かれています。私の場合も2か月はまったく変化がなく、3か月目に効きました。

Q. ゼポジアはどういう仕組みの薬ですか?

A. リンパ球(自分の腸を攻撃してしまう免疫の細胞)を、リンパ節という待機場所から出さないようにする薬です。出られないので腸に集まる細胞が減り、炎症が落ち着きます。ただし腸以外にも回らなくなるため、免疫全体が下がります。S1P受容体調節薬という新しい種類で、潰瘍性大腸炎では日本で最初のものです。

Q. 免疫はどのくらい下がりますか?

A. メーカーの資料に「循環血中のリンパ球数を、ベースラインの約49%に減少させる」と書かれています。飲む前と比べて、体を回るリンパ球が半分近くまで減るということです。副作用としてリンパ球が減った人は10.2%でした。飲む前と飲んでいる間、定期的な血液検査が必要で、一定の数を下回ったらいったん中止します。

Q. やめたあと、免疫はいつ戻りますか?

A. 薬が体から抜けるのに3か月かかることがあるため、その間も感染症に注意を続けるよう添付文書に書かれています。審査報告書の推定では、リンパ球の数がもとに戻るのは、やめてから2か月で66%、3か月で79%の人です。やめてすぐ免疫が戻るわけではありません。

Q. アザニンと一緒に飲めますか?

A. 飲めません。国の治療指針に「トファシチニブ・ウパダシチニブ・オザニモド・エトラシモドを選択した場合はチオプリン製剤を併用しないこと」と明記されています。添付文書も、ステロイド以外の免疫抑制剤・生物学的製剤・JAK阻害薬との併用を避けるとしています。ゼポジアに切り替えるときは、アザニンをやめることになります。

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