
ゼポジアの効果と副作用|3か月目に効いた当事者の記録
ゼポジア(成分名:オザニモド)は、免疫の細胞を、腸に行かせないようにする薬です。発売は2025年3月。潰瘍性大腸炎では日本で最初のタイプの薬で、まだ新しい薬です。
新しいので、飲んだ人の記録がほとんど見つかりません。検索して出てくるのは、製薬会社の資料と、臨床試験の数字です。
だからこの記事は、これから飲む人と、飲み始めたけれど何も変わらなくて不安な人に向けて書きます。
いちばん書き残したいのは、これです。私は先生から「1〜2週間で効いてくる」と聞いていましたが、最初の2か月、排便回数も血便もまったく変わりませんでした。そして3か月目に、便が安定しました。
2か月でやめていたら、3か月目の変化はありませんでした。あとから調べたら、そもそも「いつ効きはじめるか」のデータが公的な資料に存在しないと分かりました。それも本文に書きます。
この記事の結論
- 最初の2か月は、排便回数も血便も変わりませんでした
- 3か月目に、一気に効きました。排便回数が1日2回まで減り、便も固まって安定。頭の回転も眠りも変わりました
- ただし免疫を下げる薬です。蜂窩織炎になり、風邪もひきやすくなり、やめました
※ 私個人(潰瘍性大腸炎の当事者)の体験の記録です。医療者ではありません。効果には個人差があり、薬の判断は必ず主治医にご相談ください。自己判断で減らしたりやめたりしないでください。
ゼポジアとは|リンパ球を、腸に行かせない薬

この薬の仕組みは、あとの副作用の話とそのままつながります。先に見ておくと読みやすいので、短く書きます。
潰瘍性大腸炎では、免疫の細胞が自分の腸を攻撃してしまいます。その細胞のひとつがリンパ球です。
リンパ球はふだん、リンパ節という体じゅうにある待機場所にいます。そこから血管に出て、体を回り、腸に届く。ゼポジアは、この「リンパ節から出る」ところをふさぎます。
ふだん
- リンパ球はどう動くか
- リンパ節から血管に出て、体を回り、腸に届く
ゼポジアを飲むと
- リンパ球はどう動くか
- リンパ節から出られなくなる。腸に集まる細胞が減り、炎症が落ち着く
同時に起きること
- リンパ球はどう動くか
- 腸以外にも回らなくなる。感染症にかかりやすくなる
表の3行目が、私がこの薬をやめた理由です。効く理由と、免疫が下がる理由は、同じひとつの仕組みです。片方だけを起こすことはできません。
※ 出典:ゼポジア添付文書、潰瘍性大腸炎の治療指針(令和7年度改訂版)。治療指針の原文は「リンパ球の二次リンパ組織から血中への遊出を抑制する」。
始めた経緯|アザニンと併用できないので、やめて入れ替えた

ゼポジアを始める前、私が飲んでいたのはアザニンでした。私がいちばん長く飲んだ薬です。落ち着いた状態を保つための薬ですが、寛解を維持できませんでした。血便が戻り、排便回数も増えていく。
そこで先生から出てきたのが、ゼポジアです。
先に書いておくと、私はゼポジアを2回使っています。この記事で書くのは1回目の話です。
1
- 飲んだ薬
- アザニン
- どうなったか
- 寛解を維持できなかった
2
- 飲んだ薬
- ゼポジア(この記事)
- どうなったか
- 3か月目に効いたが、感染症が出てやめた
3
- 飲んだ薬
- アザニン
- どうなったか
- 戻ったが、また維持できなかった
4
- 飲んだ薬
- ゼポジア
- どうなったか
- もう一度使うことになった
ただし、この2つは一緒に飲めません。国の治療指針で、併用しないことになっています。
つまり「足す」のではなく「入れ替える」。アザニンをやめてから、ゼポジアを始めることになります。
※ 出典:治療指針 令和7年度改訂版、ゼポジア添付文書 7.5。原文は「オザニモドを選択した場合はチオプリン製剤(アザニンなど)を併用しないこと」。
この前に飲んでいた薬

アザニンの効果|「ほぼ寛解」と言われた日、排便回数は1日4回だった
潰瘍性大腸炎でアザニン(アザチオプリン)を2回使いました。
アザニンの記録を見るゼポジアの効果|最初の2か月は、排便回数も血便も変わらなかった

飲みはじめる前、私は先生からこう聞いていました。
ところが、排便回数も血便も、何ひとつ変わりませんでした。
排便回数は1日に何回も出るまま。血便も普通に出ていました。正直、きつかったです。1か月経っても、2か月経っても同じでした。
聞いていた期間の、4倍以上が過ぎていました。ただし、これは「効かない薬だった」という意味ではありませんでした。あとから薬の公式な説明書を読んで、2つのことが分かりました。
1つめ。「いつ効きはじめるか」のデータが、日本の公的な資料にはありません。メーカーが医師向けに出している資料でも、「作用発現時間」の欄は「該当資料なし」と書かれています。
2つめ。効いたかどうかの判定は、12週(約3か月)に置かれています。説明書には「12週の時点で反応がなければ、他の治療への切り替えを考える」とあります。
国が承認するときの審査報告書に、なぜ12週なのかの理由がありました。海外の試験で、9週目を過ぎてから効きはじめる人が増えていたからです。だから判定を、そこより後の12週に置いている。
2か月は、まだ判定の時期ですらありませんでした。※ 出典:ゼポジア添付文書 7.4、インタビューフォーム(作用発現時間:該当資料なし)、PMDA審査報告書 7.R.1.1.1。海外試験の事後解析では2週で症状が下がりはじめたとの報告がありますが、日本の公的資料には載っていません。
効いたのは3か月目|排便回数が2回まで減り、便が固まった

3か月目に入って、一気に効きました。
少しずつ良くなっていったのではありません。前の日まで2か月間まったく変わらなかったのが、ある日、突然でした。
- 血便がなくなりました
- 排便回数が、1日2回まで減りました
- 便が固まりました
排便回数が減っても、出ているものが水のようなままなら、まだ落ち着いていません。このとき初めて、形のある便——いわゆるバナナのような便が出るようになりました。しかも一度きりではなく、安定してそうなりました。
そして変わったのは、腸だけではありませんでした。
- 頭の回転が良くなった——考えがまとまるようになった
- 眠りが良くなった——寝つきも、朝の目覚めも
- 短い睡眠でも動けるようになった
腸だけでなく、頭も睡眠も変わりました。これは他の薬では経験しませんでした。
ひとつ、正直に書いておきます。この時期、私は同時に四毒抜きと、自律神経を整えることも始めていました。だから「便が安定したのはゼポジアのおかげ」と、私には言い切れません。3つを同時に変えてしまったので、どれがどれだけ効いたのかを分けられないんです。
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ゼポジアは、私の排便回数を減らしてくれました。それでもやめた理由が、ここです。
私に出たのはこの3つでした。
- ふくらはぎが蜂窩織炎(ほうかしきえん)になった——皮膚の下で細菌が広がる感染症です
- 虫刺されが、いつまでも治らなくなった
- 風邪をひきやすくなった
どれも腸の症状ではありません。体の別のところで、感染症にかかりやすくなっていました。
※ 蜂窩織炎はゼポジアの説明書に副作用として載っていません。国内の試験(168人)で1例の報告がありますが、薬との関係は認められていません。私に起きたことです。
リンパ球が、半分近くまで減る
これは私の感覚だけの話ではありません。薬の資料に、数字で書かれていました。飲む前と比べて、体を回っているリンパ球が約49%——半分近くまで減るとあります。「腸に行かせない」薬なので、当然そうなります。最初の表に書いた3行目が、実際に私の体で起きていました。
だから飲んでいる間は、検査が続きます。
- 血液検査——飲む前と、飲んでいる間ずっと定期的に
- リンパ球が一定の数を下回ったら、いったん中止。戻るまで再開しない
- 飲む前に心電図、飲んでいる間は目の検査も定期的に
- 生ワクチンは打てません
副作用としてリンパ球が減った人は10.2%でした。
なお説明書に感染症として載っているのは、帯状疱疹(2.8%)・口の中のヘルペス(0.6%)・のどの奥の炎症です。私に出たものは、そこには載っていません。
※ 出典:ゼポジア添付文書 8.4/11.1、医薬品リスク管理計画書、PMDA審査報告書。他に重い副作用として、肝機能障害4.5%、脈が遅くなる不整脈1.7%、目の奥がむくむ黄斑浮腫0.6%。
やめた理由|長く飲み続けることを、考えられなかった

これまでにやめた薬は、どれも排便回数も血便も変わらなかったからやめました。ゼポジアは違います。排便回数は1日2回まで減り、便も安定していました。
それでもやめたのは、目の前に出ている感染症だけが理由ではありません。
考えたのは、この先のことでした。ゼポジアは、寛解を保つために長く飲み続ける薬です。飲みはじめて数か月で蜂窩織炎になり、虫刺されが治らず、風邪をひきやすくなっている。この状態のまま何年も飲み続けて、出てくるのはこの3つだけで済むのか。
腸は落ち着いていました。でもそのために、免疫を下げた状態を何年も続けることになります。そのあいだに体で何が起きるのかは、飲んでいる私には分かりません。
腸が落ち着いていることと、この先ずっと飲み続けることは、別の話でした。私は続けないほうを選びました。
※ これは私の判断です。同じ薬を長く続けている人はたくさんいます。効いている薬を続けるか変えるかは、必ず主治医と決めてください。
これは私の場合の判断です。効いている薬をやめるかどうかは、必ず主治医と決めてください。ゼポジアはいきなりやめると、再開するときに少ない量からやり直す必要がある薬でもあります(心拍数が下がるのを防ぐため)。自分だけで判断していい薬ではありません。
そしてもう1つ、知っておいたほうがいいことがあります。やめても、すぐには免疫が戻りません。
説明書には「薬が体から抜けるのに3か月かかることがあるため、その間も感染症に注意を続けること」と書かれています。審査報告書の推定では、リンパ球の数がもとに戻るのはやめてから2か月で66%、3か月で79%の人です。
やめたあとも、しばらくは免疫が下がったままです。※ 出典:ゼポジア添付文書 7.2/8.7、PMDA審査報告書 7.R.2.4.4(353例からの推定)。
まとめ(私の場合)
- ゼポジアはリンパ球を腸に行かせない薬。日本では2025年3月発売の新しい薬。アザニンとは一緒に飲めません
- 先生からは「1〜2週間で効いてくる」と聞いていましたが、最初の2か月は排便回数も血便も変わりませんでした
- 「いつ効きはじめるか」のデータは、日本の公的資料にありません。判定は12週に置かれています
- 3か月目に排便回数が1日2回まで減り、便も固まって安定しました
- ただし同時に四毒抜きと自律神経のことも始めたので、どれがどれだけ効いたのかは分けられません
- 免疫が下がる薬。リンパ球が約半分に減る。蜂窩織炎になり、長く続けることを考えてやめました
ゼポジアの量や期間は、必ず主治医の指示に従ってください。自己判断で減らしたりやめたりしないでください。
このあと私はアザニンに戻り、そこでも寛解を維持できず、もう一度ゼポジアを使うことになります。
よくある質問
Q. ゼポジアはどのくらいで効果が分かりますか?
A. 「いつ効きはじめるか」を示すデータは、日本の公的な資料にはありません。メーカーが医師向けに出すインタビューフォームでも「作用発現時間」の欄は「該当資料なし」です。効いたかどうかの判定は12週(約3か月)に置かれており、審査報告書には「9週以降も投与を続けることで改善が認められる人の割合が増える」と示唆されたためだと書かれています。私の場合も2か月はまったく変化がなく、3か月目に効きました。
Q. ゼポジアはどういう仕組みの薬ですか?
A. リンパ球(自分の腸を攻撃してしまう免疫の細胞)を、リンパ節という待機場所から出さないようにする薬です。出られないので腸に集まる細胞が減り、炎症が落ち着きます。ただし腸以外にも回らなくなるため、免疫全体が下がります。S1P受容体調節薬という新しい種類で、潰瘍性大腸炎では日本で最初のものです。
Q. 免疫はどのくらい下がりますか?
A. メーカーの資料に「循環血中のリンパ球数を、ベースラインの約49%に減少させる」と書かれています。飲む前と比べて、体を回るリンパ球が半分近くまで減るということです。副作用としてリンパ球が減った人は10.2%でした。飲む前と飲んでいる間、定期的な血液検査が必要で、一定の数を下回ったらいったん中止します。
Q. やめたあと、免疫はいつ戻りますか?
A. 薬が体から抜けるのに3か月かかることがあるため、その間も感染症に注意を続けるよう添付文書に書かれています。審査報告書の推定では、リンパ球の数がもとに戻るのは、やめてから2か月で66%、3か月で79%の人です。やめてすぐ免疫が戻るわけではありません。
Q. アザニンと一緒に飲めますか?
A. 飲めません。国の治療指針に「トファシチニブ・ウパダシチニブ・オザニモド・エトラシモドを選択した場合はチオプリン製剤を併用しないこと」と明記されています。添付文書も、ステロイド以外の免疫抑制剤・生物学的製剤・JAK阻害薬との併用を避けるとしています。ゼポジアに切り替えるときは、アザニンをやめることになります。


