重症UCから完全寛解した当事者の全記録潰瘍性大腸炎回復ラボ
ラボノート記録2026年9月2日 公開

潰瘍性大腸炎の内視鏡所見とMES|私の大腸の写真5回分を公開

潰瘍性大腸炎の内視鏡で、医師は粘膜の何を見ているのか。この記事では、報告書に書かれる言葉の意味と、私の大腸の内視鏡写真5回分と報告書を、そのまま載せます

私の場合、内視鏡の結果が軽かった回でも、排便が1日10回以上ある時期がありました

先に、この記事の結論から書いておきます。

この記事の結論

  • 報告書は「血管透見(けっかんとうけん)」「びらん」「MES」の3語がわかれば読めます
  • 私は初診から2年で内視鏡を5回。内視鏡のスコア(MES)は2 → 1 → 1 → 2 → 1でした
  • スコアが1の回でも、排便は1日10回以上ありました

まずは、報告書に並ぶ言葉の意味から順に見ていきます。内視鏡の結果と症状が一致しなかった話は、そのあとに書きます。

※ 私個人の検査記録にもとづく体験談です。検査や治療の判断は、必ず主治医に相談してください。

潰瘍性大腸炎の内視鏡所見|私の5回分のスコアと結果

初診から2年のあいだに受けた5回の内視鏡の時期とスコアを並べた図

私が受けた内視鏡は、初診から2年で5回です。時期と結果を表にします。時期は初診の日からの月数で、1回目は初診の6週間後でした。

① 6週後

所見の要点
重症と診断
MES
2

② 8か月後

所見の要点
ほぼ寛解
MES
1

③ 1年7か月後

所見の要点
直腸に発赤(ほっせき)
MES
1

④ 1年10か月後

所見の要点
膿のような粘液がついた発赤
MES
2

⑤ 2年1か月後

所見の要点
血管が一部見える。びらんあり
MES
1

※ 報告書にMESの数字が書かれているのは⑤だけです。①〜④は、私の記録と診察で聞いた内容にもとづく数字です。

「ほぼ寛解」は、炎症がほぼ消えた状態のことです。

報告書は、5回とも検査のあとに渡されました。その5回分の報告書と写真を、診断前に受けた1回も加えて、記事の後半にそのまま載せます。

ただ、正直に書くと、MESという数字を、当時の私はまったく見ていませんでした。意味も知らず、この記事を書くために調べて、初めて何の数字か分かったというのが本音です。

私が見ていたのは、数字ではなく写真と、先生の説明でした。いちばん印象に残っているのは、やはり初診の1回目です。重症と言われたとおり、明らかに状態が悪い——テレビで見たことがある「大腸がよくない人のサンプル」のような見た目でした。

そしてもうひとつ、ずっと気になっていたことがあります。写真の見た目がよかった時期でも、症状が悪かったことです。炎症は治まっているのに症状は悪いのはなぜなのか、ここはかなり悩みました。

その話は記事の後半に書くとして、まずは表の「発赤」「血管」「びらん」が何を指しているのかを説明します。

血管透見像の消失とは|報告書の「発赤」「びらん」「潰瘍」の意味

正常な粘膜と炎症のある粘膜の違いを、血管の見え方・赤み・びらんの3点で並べた図解

潰瘍性大腸炎の炎症は、大腸のいちばん内側にある粘膜に起きます。内視鏡はその粘膜を直接見るので、炎症がそのまま映ります。

医師が見ているのは、おもに血管透見・発赤・びらん・潰瘍(かいよう)の4つです。右の列は、私の報告書に実際に書かれていた言葉です。

血管透見

意味
血管が透けて見える=正常
私の報告書では
「血管透見消失」

発赤

意味
粘膜が赤い=炎症がある
私の報告書では
「発赤粘膜」

びらん

意味
浅いただれ=潰瘍の手前
私の報告書では
「びらんあり」

潰瘍

意味
深いえぐれ=炎症が強い
私の報告書では
「深ぼれ潰瘍ではない」

炎症で粘膜がむくむと、透けて見えていた血管が消えます。これが報告書の「血管透見像の消失」です。

※ 所見の分け方は厚労省研究班「潰瘍性大腸炎診断基準」(2019年改訂)にもとづきます。軽度=血管透見像の消失・発赤、中等度=びらん・小潰瘍・粘血膿性の分泌物、強度=広範な潰瘍・自然出血。

私の報告書では、悪かった回が「血管透見消失した発赤粘膜」、回復した回が「部分的に血管透見確認できる」でした。回復した回でも「部分的に」で、血管が全部見えるところまでは戻っていません。

そして、この見た目を数字にしたものがMESです。

潰瘍性大腸炎のMES(Mayo内視鏡スコア)とは|0〜3の4段階

MESの0から3までの4段階を、粘膜の状態の説明つきで並べた図

MESは、内視鏡で見た粘膜の状態を、赤み・血管の見え方・びらんや潰瘍の有無から0〜3の4段階に分けたものです。

MES 0

粘膜の状態
正常、または炎症のあとだけ

MES 1

粘膜の状態
軽度。赤み、血管が見えにくい、もろい

MES 2

粘膜の状態
中等度。はっきりした赤み、血管が見えない、びらん

MES 3

粘膜の状態
重度。自然に出血する、潰瘍

※ 出典:Schroeder KW ほか(N Engl J Med, 1987)。正式には「Mayo内視鏡サブスコア」。厚労省研究班「炎症性腸疾患の疾患活動性評価指標集」にも同じ4段階で収載。

私の記録に残っているのは、この表のMES 1と2でした。いちばん重い3は、私の5回の内視鏡検査では一度も書かれていません

MESは、潰瘍性大腸炎の重さを測る「Mayoスコア」という物差しの一部です。Mayoスコアは排便回数・血便・内視鏡・医師の評価の4項目を点数にしたもので、そのうち内視鏡の項目だけを取り出したのがMESです。

ただし、私の主治医は、このMESの数字を治療の判断には使っていませんでした。判断していたのは所見のほうです。炎症があるかないか、どういうびらんがあるか、潰瘍があるか。それを実際に見て決めていました。診察で、MESの数字の話が出たことはありません。

では、所見がどうなれば治療のゴールなのか。その目安が、次の「粘膜治癒(ねんまくちゆ)」です。

粘膜治癒とは|MES 0が長期の目標とされる理由

症状がない状態と、内視鏡で粘膜がきれいになっている状態は別であることを示す図

粘膜治癒とは、症状が落ち着いているだけでなく、内視鏡で見て粘膜がきれいになっている状態を指します。国際的な治療目標では、長期のゴールはMES 0とされています。

ここで大事なのは、粘膜治癒は「症状が消えること」の代わりではなく、その先に置かれた目標だということです。国際的な治療目標の指針(STRIDE-II)では、まず症状が落ち着くこと、次に血液や便の炎症の数字が正常に戻ること、そして長期的には症状が落ち着いていて、かつ内視鏡で粘膜がきれいなこと、という順に目標が並んでいます。

粘膜まで見る理由は、症状がなくても粘膜に炎症が残っていると、症状のぶり返し(再燃)が起きやすいとされているからです。つまり粘膜治癒は、症状だけでなく、粘膜そのものがきれいになっているかを確かめるためのものです。

※ 出典:IOIBD「STRIDE-II」(Gastroenterology, 2021)。治療目標を短期・中期・長期に分けた国際的な合意文書で、潰瘍性大腸炎の長期目標「内視鏡的治癒」をMES 0としています。症状が落ち着いていてもMES 1はMES 0より再燃が多い、という15研究のまとめもあります(BMC Gastroenterology, 2022)。

粘膜の状態を直接見られるのは内視鏡だけです。ただし、炎症の強さは便の検査でも追えます。私の場合、血液には一度も炎症が出ませんでしたが、便には出ました。その便の検査の記録は、別の記事に書いています。

便中カルプロテクチンの実測値は、この記事に書いています

便中カルプロテクチンとは|潰瘍性大腸炎の私の実測値824→25.5

血液検査に炎症が出ない私の腸の状態は、便中カルプロテクチンにはっきり出ました。

記事を読む

潰瘍性大腸炎の内視鏡の頻度|私は初診から2年で5回でした

初診から2年のあいだに内視鏡を受けたタイミングと、その理由を並べた図

潰瘍性大腸炎の内視鏡は「何年に1回」と決まっているものではなく、症状と治療の節目で受けます。私の場合、5回の理由はこうでした。表のアザニンは、免疫の働きを少し抑える飲み薬です。

① 6週後

受けた理由
血便が続いて受診。診断のため

② 8か月後

受けた理由
ステロイド終了後、炎症が消えたかの確認

③ 1年7か月後

受けた理由
アザニンが効いているかの確認

④ 1年10か月後

受けた理由
アザニンに戻して血便が再発。悪化の確認

⑤ 2年1か月後

受けた理由
ステロイド後にアザニンへ。保てているかの確認

内視鏡の費用と保険のルールは、別の記事にまとめています。

内視鏡と生検の実額は、この記事にまとめています

潰瘍性大腸炎の治療費はいくら?|私が払った実額を全部公開します

潰瘍性大腸炎の治療費が実際いくらかかるのか。

記事を読む

ここから先は、私の内視鏡を、報告書と写真そのままで載せます。血便があったのに「健康な腸」と言われた内視鏡、大腸のほぼ全部が発赤していた診断の回、「増悪?」と書かれた直腸。所見の文言が回ごとにどう変わったかを、順に書きます。

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よくある質問

Q. 潰瘍性大腸炎の内視鏡スコア(MES)とは何ですか?

A. 内視鏡で見た粘膜の状態を0〜3の4段階で表す指標です。私の報告書には「MES1」のように書かれていました。数字の読み方は主治医に確認してください。

Q. 潰瘍性大腸炎の内視鏡はどのくらいの頻度で受けますか?

A. 私の場合は初診から2年で5回でした。悪化したときの確認と、薬を変えたあとの確認で受けています。頻度は症状と主治医の判断で変わります。

Q. 内視鏡の結果が軽くても、症状が重いことはありますか?

A. 私の場合はありました。内視鏡のスコアがMES 1でも、排便が1日10回以上の時期がありました。内視鏡は「その瞬間の粘膜」を見る検査なので、私は症状や便の検査と合わせて見ています。